ブランディングとマーケティング活動を統一して知名度を上げる
クリニック・ドミナント戦略の拠点の一つとして、私は東京の日本橋にサージクリニックを開設しました。日本で有数の腕前をもつ医師を招聘したのです。なかでも目玉となるのは、男性の声を女性のような声に変えたり、その逆にしたりという、トランスジェンダーの方のニーズに応えた手術です。これまでどおり耳や鼻の手術も行いながら、日本国内でもまだあまり広まっていない声を変える手術を、日本橋という立地で提供しています。
その狙いは、単なる市場拡大にとどまりません。真の目的は、経営する医療法人のブランディングであり、クリニックネットワーク拡大の応用編ともいえます。従来のクリニック・ドミナント戦略では、西東京エリア在住の患者をメインターゲットにしていましたが、今回は難度の高い手術を行うことで、これまでの戦略の枠を超えて日本全国から患者を集める予定です。東京の中心地である日本橋を拠点にする意味はそこにあるのです。
新しくオープンした日本橋のサージクリニックには、ほかにもかなりのこだわりを持ち、駅直結で利便性の高い立地を選びました。そこに私や手術を担当する医師のブランディングを加えることで、日本全国から患者を集めるだけでなく、世界中から患者を集めることを目指しているのです。
私が最初に耳鼻咽喉科をオープンしたのは22年前、2002年のことです。そこから分院展開を進め、うまくいく診療の方法や集患のコツ、従業員の教育法、組織構築論などを見いだしてきました。このノウハウを活かしながら、次なる挑戦として5年前に多摩市に初めてのサージクリニックをオープンさせたのです。
私は非常に飽きっぽい性格であると自認しており、分院展開を繰り返す以上の刺激を求めて、サージクリニックの開院を目指したという一面もあります。しかし、それがここまでの社会貢献につながったことをうれしく思っています。
今では成功例を偉そうに語っていますが、このサージクリニックを軌道に乗せていく過程は、今までの分院展開とは異なり非常に大変でした。これまでのクリニックにはなかった全身麻酔での手術や入院など初めての経験が多く、またコロナ禍とも重なったため、立ち上がりの悪さや、さまざまな試練がありました。しかし優秀な医師やスタッフの支えがあって、患者の集まる西東京一のサージクリニックとすることができたのです。
医療法人におけるブランディングの定義とは、その医療法人が提供する医療サービスの質の高さや独自性を際立たせ、患者やほかの医療関係者からの信頼と評価を獲得し、ブランドとしての価値を確立することだと私は考えています。具体的には、高度な医療技術、専門性の高い治療、患者に寄り添う姿勢、快適な医療環境など、ほかの医療機関との差別化を図るための要素を強化し、それを内外に発信していくことが重要になります。
私がそれまでのクリニック運営で重視していたのは、人間性の良さやコミュニケーション能力を持ち、処置が上手な医師をリクルーティングすることでした。しかし、これからはそれだけでは不十分です。医療の進歩に伴い、求められる医師のレベルもどんどん上がってきています。同じ料理でも、シェフによって味も値段も違うように、医療も質によって選ばれる時代が到来するはずです。
そこで、腕の良い医師を集めるために重要になるのがブランディングです。医療法人は医療広告ガイドラインにより広告宣伝が制限されているからこそ、ブランディングとマーケティングはクリニック経営にとってかつてないほど重要な時代となっていくはずです。
現在私のサージクリニックに在籍する医師や、これから採用する予定の医師たちは、全国的に名前が知れ渡っている名医ばかりです。なかには世界的に有名な医師もいます。あの先生は凄腕だという評判が口コミやSNSで広がることが、クリニックにとって何よりの宣伝になるのです。
これは私のビジネスの生命線でもあります。どれだけレベルの高い医師を集められるか、そのための人脈も大切です。優秀な医師が在籍していると噂を聞きつけてさらに良い医師が集まってくることでクリニックネットワークをさらに広げていくことができるのです。これこそが、クリニック・ドミナント戦略の重要なポイントなのです。
髙松 俊輔
医療法人社団翔和仁誠会
理事長
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