(※写真はイメージです/PIXTA)

年齢とともに高まる「健康リスク」。異常気象の影響で不安定な天候が続く状況の続くなか、高齢者の突然死も増えています。家族による事前の備えは欠かせません。万が一、なんの備えもせずに家族が突然亡くなってしまった場合、残された子どもや配偶者はどうなってしまうのでしょうか。本記事では、中村さん(仮名)の事例とともに、現実に起こり得る家族の問題と、遺品整理や空き家管理の現状、そして事前の対策について、波多FP事務所の代表ファイナンシャルプランナーである波多勇気氏が解説します。

現代日本における高齢者と空き家問題

日本は、世界的に見ても高齢化が進んでいる国のひとつといえるでしょう。65歳以上の高齢者が総人口の28%以上を占め、特に単身世帯の高齢者の割合も増加しています。そうした高齢者の孤独死や急死は、家族にとっても深刻な問題となっています。

 

裕一さんのように、親が突然亡くなったのをきっかけに実家の管理を引き継ぐといったケースも珍しくありません。

 

また、日本全国で急増しているのが空き家の数です。総務省の調査によれば、2023年時点で空き家率は約14%に達し、そのなかには遺族が手を付けられずに放置されたものも多く見受けられます。老朽化した住宅は、修繕費用や管理の手間がかかるため、遺族にとっては大きな負担となります。

 

特に築古の家屋は、修繕が必要な箇所が多く、費用がかさむことも少なくありません。空き家は、近隣住民への安全リスクや地域の景観にも悪影響をおよぼします。高齢化と空き家問題は、家庭という個人単位の問題というだけではなく、社会全体の課題でもあるのです。

 

高齢親の死後、後悔する子

「実家の修繕費用、一体どれくらいかかるんだろう?」裕一さんは頭を抱えました。父親がもっと元気なうちに話し合っておけばよかったのですが、いまとなっては自らを悔いることしかできません。父親の年金額は月に14万円。見つけられた銀行口座に残っている貯金残高は0円。さすがに0円はないだろうと思いましたが、部屋が散乱し過ぎてほかの資産が見つけられません。

 

「父さん、将来のことを少しでも考えておいてくれたら……」裕一さんはそんな思いを巡らせました。このような状況に陥らないためには、どのような対策をすべきなのでしょうか。

 

本記事でご紹介した裕一さんのようなケースは、決して他人事ではありません。多くの方にとって起こりうる問題といえます。口にしづらい話題ではあるものの、家の整理や相続について、事前に家族と話し合いの場を持つことは重要でしょう。家族が元気なうちから相談しておくことで、リスクを小さくすることは可能です。

 

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