前回は、労働時間の適正な管理の重要性についてお伝えをしました。今回は、法律で付与の内容等が決められている「有給休暇」について見ていきます。

「ワークライフバランス」のために奨励される有給取得

『正社員以外には有給休暇は与えていません』と言い切る中小企業経営者や管理職の方をたまに見かけます。また、『私はパートだから有給休暇なんてない』とおっしゃるパート労働者さんにもお会いしたことがあります。

 

企業の労務管理の中でも、年次有給休暇(以下有休)に関する誤認識や制度と実態の乖離はなかなか悩ましい問題です。

 

昨今、ワークライフバランスの観点から、大企業を中心に有休の取得促進に力を入れている企業も見受けられる反面、特に中小零細企業においての有休取得率は決して高いものではありません。労使双方の誤認識や制度は知っていても、暗黙の了解で有休の請求がしづらい企業風土などが原因といえます。

 

しかし、そもそも有休とは、労働基準法39条でしっかり定められている労働者の権利です。「使用者は、六箇月間継続勤務し、八割以上出勤した労働者に対して、最低十労働日の有給休暇を与えなければならない」とされています。言葉は似ていても慶弔休暇のような会社が与える特別休暇とは性質が違うんですね。

 

有休など取らずに毎日働いてもらいたいというのが経営者の本音なのかもしれませんが、それは願望でしかなく、法律で決まっているならと、仕方なく正社員には取らせているけど、時間や期間を定めて働くパートや契約社員には取らせないとしている会社があったり、そもそも「ウチは小さな会社だから有休なんて設けていない」とおっしゃる社長さんがいたりと様々です。

賃金を支払って有休を買い上げるのはNG

結論から言えば、有休は、正社員のみに与えればいい制度ではなく、パートやアルバイトといった短時間労働者にも当然に与える必要があります。会社の業種や規模も関係なく、全ての事業場の労働者に適用されます。有休には、週の所定労働時間が30時間未満かつ、週所定労働日数が4日以下の者には、その勤務日数に比例した有休を与えなさいという仕組みがあります。これを「比例付与」と言います。故に、例え週に1日しか働かないパートさんであっても、それに比例した有休が与えられることになります。ですから、名称はパートでも、週の所定労働時間が30時間以上だったり、週の所定労働日数が5日以上のパート労働者であれば、正社員と同様の有休を与えなければいけないということですね。

 

最後に、有休は労働者の心身のリフレッシュを目的として与えるといった要素が強いため、休ませずに一日分の賃金を支払って有休を買い上げるようなことは認められておりませんので気をつけてください。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録