※画像はイメージです/PIXTA

相続税の申告が終わってから申告漏れが発覚した場合、どうしたらいいのか。またそもそも故意の申告漏れと判断された場合のペナルティについて、税理士が解説します。

期限までに申告しなかった場合「無申告加算税」

正当な理由がないにもかかわらず期限までに申告をしなかったとき『無申告加算税』が課されます。無申告加算税は決められた割合で計算されますが、無申告に自分で気づくか税務署の指摘を受けるかで割合が異なります。

 

無申告に自分で気づき自主的に申告した場合、割合は納税額の5%です。また申告期限から1ヵ月以内に申告し法定納期限までに納付していれば無申告加算税は課されません。

 

税務調査の事前通知後、実際に調査が実施される前に自主的に申告した場合は、税額50万円までは10%、50万円を超える部分は15%の割合で計算されます。税制改正により、申告期限が2024年1月1日以降の場合は、300万円を超える部分は25%の割合で計算されます。

 

一方、税務調査によって無申告が判明し申告すると、税額50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合で計算されます。申告期限が2024年1月1日以降の場合は、300万円を超える部分は30%の割合で計算されます。

 

そのため無申告に気が付いたら、放置せずにできるだけ早いタイミングで自ら申告することが重要です。

 

申告した額が不足していた場合「過少申告加算税」

当初の期限内に申告していたとしても、相続税額が不足していると『過少申告加算税』を支払わなければならない可能性があります。たとえば税務調査により新たな遺産が見つかり、修正申告が必要になるようなケースです。

 

税務調査後の修正申告であれば追加納税額の10%もしくは15%で計算されます。税務調査の事前通知後、実際に調査が実施される前に修正申告すれば、追加納税額の5%もしくは10%です。

 

また税務調査の事前通知より前に自主的に修正申告を行えば、過少申告加算税はかかりません。

申告漏れに気づいた場合の対処法

正しく申告したはずでも、あとから申告漏れに気づくことは珍しくありません。申告漏れに気づいた場合には、どのように対処すればよいのでしょうか? 必要な手続きを知ることでスピーディーに解決できます。

 

できるだけ速やかに修正する

まずはできるだけ早い段階で正しい内容に修正し、申告し直しましょう。申告漏れがあったとしても、税務調査の事前通知が入る前に自主的に修正申告すれば、過少申告加算税は課されず、無申告加算税も最低限の金額で済みます。

 

申告前に書類を見直し誤りがないか確認することはもちろんですが、加えて申告後にも内容を見直し、申告漏れがないかチェックすると早めに間違いに気づけるでしょう。

 

修正申告書を提出する

修正申告は相続税の申告内容を修正するために行う申告です。先に提出していた書類の誤りを訂正するのではなく『修正申告書』という専用の用紙を使います(令和5年(2023年)分から通常の申告書と共通になっています)。用紙は国税庁の公式サイトからダウンロード可能です。※1

 

修正申告書を税務署へ提出し追加の納税を行うことで、申告漏れの状態を解消できます。

 

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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