「大量退職時代」に突入。人材需給はさらに悪化
このような人手不足の傾向は、今後ますます悪化すると考えられます。その理由の一つが、建設業就業者の高齢化の進行です。[図表2]のグラフが示すように、建設業の就業者は、55歳以上が35%以上を占める一方、29歳以下は12%程度となっています。
そしてほかの業種と同様に建設業界においても「2025年問題」が到来します。2025年問題とは、団塊の世代(1947年~1949年生まれ)の大量退職による人手不足が発生することを指します。
高齢化が進んでいる建設業界にとって、技術継承の問題や人件費の高騰がますます深刻化すると考えられます。
建設業の将来像を推測したデータもあります。『未来予測2040労働供給制約社会がやってくる』(リクルートワークス研究所)によると、建設業界では、2030年には22.3万人、2040年には65.7万人の労働供給不足になると推定されています。その結果、道路のメンテナンスや災害後の復旧に手が回らなくなり、インフラの維持管理に大きな問題が生じる可能性が指摘されています。
なお、人手不足は建設業に限りません。同じ調査によれば、人口減少や少子高齢化を背景に、社会全体における労働の供給量(担い手の数)は2027年頃から急激に減少し、2040年には1,100万人もの供給不足に陥るとのことです。
つまり、建設業に限らずあらゆる業界で問題になっている人手不足の状況は、まだ始まったばかりということであり今後、業界を超えた人材争奪戦が始まることを覚悟しなければなりません。