建設業の活況は続く。しかし人手不足が問題に
日本の建設業は依然として活況を呈しています。国土交通省の「建設投資見通し」によると、建設投資額は2010年代初頭の震災復興をきっかけに増加が始まり、東京オリンピックや政府の経済対策によってその傾向が維持されてきました。インフラ整備、都市再開発プロジェクトの推進、老朽化した建築物の更新などが支えとなり、建設業の活況は今後も続いていくと考えられます。
一方で、建設業は大きな問題も抱えています。人手不足です。建設業の就業者数は、1997年のピーク時には約685万人でしたが、2022年時点では約479万人となり、3割減っています[図表1]。
建設需要が高まっているのに人手が足りないという情勢のなか、多くの建設関連企業は、人手不足→給料を上げたいがほかのコストも上昇しているのでなかなか上げられない→人材が確保できない……という負のループに陥っていると考えられます。
私は建設業専門のコンサルタントとして建設会社の経営者に話を聞く機会が多くありますが、どこの会社でも困り事の筆頭に人手不足を挙げてきます。業績が良い会社も悪い会社も、社員が数人の会社も1000人超の会社も、口をそろえて「人が足りない」と言います。
建設業の人手不足はコロナ禍前から始まっていましたが、アフターコロナや震災などにより建設需要が上向いたことや、2024年4月から適用された働き方改革による残業時間の上限規制適用などにより、さらに悪化する状況となっています。