優しくしてくれるから、つい…〈年金月20万円、預貯金1,500万円〉堅実に暮らす71歳・元消防士の度重なる「家賃未払い」。駆けつけた息子が目にした「あまりに奇妙な光景」【CFPの助言】

優しくしてくれるから、つい…〈年金月20万円、預貯金1,500万円〉堅実に暮らす71歳・元消防士の度重なる「家賃未払い」。駆けつけた息子が目にした「あまりに奇妙な光景」【CFPの助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

熟年離婚も珍しくなくなった昨今。厚生労働省の「令和4年度離婚に関する統計の概況」によると、同居期間が20年以上のカップルの離婚割合は上昇傾向にあり、令和2年度には離婚カップル全体の21.5%に達しています。離婚後に人生が好転する人もいれば、そうではないケースも少なからずあるでしょう。老後を「こんなはずじゃなかった……」としないための方策を、CFPでFP事務所MIRAI代表の山﨑 裕佳子氏が解説します。

家賃滞納で「老人性うつ」が発覚

現役中は仕事と家族一筋だったため、友人といえる人がほとんどいなかったマサオさん。社交的な性格でもなく、初対面の人とのコミュニケーションも得意なほうではありませんでした。

 

それでも自分を変えたいと一念発起。時間も体力も持て余していたため、体力維持と人脈作りを兼ねてスポーツジムに通った時期もありました。しかし、親密になると摩擦も起きやすくなるのが人間関係。仲間内のいざこざに巻き込まれたマサオさんは疲れを感じてしまい、スポーツジムを辞めてしまったそうです。

 

その後のマサオさんは、一人でいる時間が長くなってしまい、身体を動かさなくなったことで食欲も落ちました。夜もよく眠れていません。人と話す機会が極端に減って、TVの前で過ごす時間が増えました。気分が落ち込むことが増え、このままではいけないと思うものの、なかなか行動に移せなくなっていたようです。

 

そんなある日、マンションの管理会社から、隣県に住む息子に一本の電話が入ります。

 

「お父様が3ヵ月分の家賃を滞納しています。ご確認いただけますか?」とのこと。マンションを借りる際、息子が保証人になっていたのです。

 

慌てた息子は、父の住むマンションに向かいました。そして、玄関を開けて唖然としました。

 

男の一人暮らしのため、整理整頓されているとは思っていなかったものの、それにしても、という状態です。未開封の大きな段ボールがあちこちに散乱し、廊下はホコリがたまり放題です。

 

息子:「父さん、この段ボールは何? 何があったの?」


マサオさん:「通販で買ったんだ。便利なんだよ、通販って。すぐ届けてくれるんだ……。電話で話す女の子がとにかく親切で、話していると楽しくてさ……」

 

どうやら、家にこもりがちになってから、TVショッピングにはまってしまったようでした。人恋しさも手伝って、電話口に出る担当者との会話に寂しさを紛らわせていたようです。年齢的なこともあるのかもしれません、物忘れがひどくなり、支払い期日を把握することが難しくなっているようでした。

 

マサオさんは「老人性うつ」の症状を発症していました。

 

家賃を口座振替にしていなかったことが、家族がマサオさんの異変に気づくきっかけになりました。不幸中の幸いと考えるようにしたそうです。

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