お客様の怒りをしずめるには“傾聴から”
謝るときは「わたくしが対応いたしますので、恐れ入りますが詳しく状況をお聞かせいただけますか」というように、相手の話をヒアリングすることも欠かせません。
お客様が気持ちを話しているときは、「そうですよね。そんなことをされたらご不快な思いをなさいますよね」「いつ対応してもらえるのかとご心配になりますよね」と、お客様の気持ちに共感しながら事実を確認します。
そして改めて「本当に申し訳ありませんでした」と謝罪しましょう。それから、「わたくしどもとしましては、このようにしていこうと思っておりますがいかがでしょうか。具体的には……」と今後についての提案をしていきます。相手の話をしっかり聴くことで、お客様に落ち着いていただくこともできます。
また、最初に相手の気持ちをしずめる謝り方ができるかどうかは、クレームの初期対応時ではもっとも重要なことです。まず真っ先に「このようなことでご迷惑をおかけして申し訳ない」と謝罪できていないと、お客様がもともと怒っていた原因よりも、「あなた、反省していないよね!」「悪いと思ってないよね!」と、さらなる怒りを生んでしまうことになります……。何について謝っているのか、しっかり伝わるように謝罪をしましょう。
「決して人格を否定されているわけではない」ことを肝に銘じる
なかにはクレーム対応が苦手な人もいます。このタイプの人は、お客様に何かを言われると焦ってパニックになってしまったり、過剰に身構えてしまったりする傾向があります。
人は「自分が責められている」「やり込められている」と思うと、過剰に構えてしまうものです。思い当たる人は、「わたしはこの組織の代表者で、この会社とお客様をつなぐ橋渡しの役割をしているんだ」と自分に言い聞かせるようにしてください。対応に慣れるには、場数を踏むことも必要です。
もうひとつ意識したいのは、決して自分の人格を攻撃されているものではないと言い聞かせて対応すること。厳しいことを言われると、精神的に参ってしまう人もいるのですが、「自分を否定されているわけではない」ということを思い出すだけでも、気持ちが変わってきます。クレームの対応をするときに、落ち着いて深呼吸をしてから話をすることも効果的です。
アンガーマネジメントにもさまざまな方法があります。
たとえば、勇気づけの言葉を自分にかけるという「ポジティブセルフトーク」という方法はおすすめです。お客様の対応をする前に「大丈夫。わたしなら対応できる」「わたしがんばれ!」といった言葉をかけましょう。
気持ちが落ち着く言葉を唱える「コーピングマントラ」という方法もあります。「落ち着いていこう」「OK OK」といった言葉もいいですし、まったく関係のない「ワンツースリー」「コケコッコー」といったフレーズを使う人もいます。
日頃から自分に合う言葉を用意しておき、ピンチになったときや、パニックになりそうなときには、自分にその言葉をかけて、心を落ち着かせてみてください。意外と効果がありますよ。
戸田 久実
アドット・コミュニケーション株式会社代表取締役
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事
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