実際にビジョンを作るときに気をつけること
ビジョンを作成する意義がわかったところで、実際のビジョンのワークをしてみましょう。まず10年後の自社をイメージしてみます。10年後の売上、利益、扱う商品、ターゲットとする顧客、活動エリア、組織、人員数や集う人のスキルやノウハウやマインド、財務体質を思うままに書いてみます。
このときに大切なのは、できるorできないで考えないことです。できるorできないで考えると、しょぼいアイデアしか出てきません。先述のように「イメージストリーミング」を活用し、先にぶっとんだ目標を立てましょう。
できるorできないはあまり意味がありません。なぜなら、いまのあなたにはできないことだとしても、世のなかを探せばきっとそれをやっている人はいます。つまり、いまのあなたがやり方を知らないだけで、やり方は存在しているからです。
ビジョンを描くときは、やりたいorやりたくないです。やりたいことを目一杯書いてみましょう。ここから、逆算して5年後、3年後、1年後の目標を立てていきます。脳は漠然としたオーダーより具体的なオーダーを実現しようとするため、売上や利益、社員数など、数値化できるビジョンは数値化することがポイントです。
また、ビジョンを策定する際には、会社側(経営者側)の視点だけではなく、社員にとっての理想の会社像や、地域社会における貢献視点からのビジョンを考えるとビジョンがみんなのものとなり、ビジョンが社内に浸透しやすくなっていきます。
さらに、経営者の場合、プライベートのビジョンも重要です。公私混同といって経営とプライベートを混同することが悪とされている現在ですが、経営者にとって公私は混同どころか一体です。全財産を投げうち、銀行借入の連帯保証まで捺印し、24時間会社のことを考えているのが経営者。プライベートがうまくいかなければ会社も上手くいきません。
プライベートの目標がないと、ある日突然「どうして俺はがんばっているんだろう?」とウルフルズの流行歌のように途方に暮れてしまいます。プライベートも遠慮せずビジョンを描くことで、会社を発展させる動機付けになっていきます。
このようにしてビジョンを立て、それに向けて逆算して目標を設定することで、目指すべき姿、そこまでの距離、高さ、さらにはビジョンを実現するための課題が明らかになります。ここまで明らかになれば、あとは行動あるのみです。
親族経営の場合、決まった社員が決まった商品を決まった顧客が売るため、どうしても日々を成り行きで過ごしてしまいがちです。会社を一定年数存続させるだけであればこれで問題はないでしょう。
ですが、もしあなたがいまの会社をもっとより良くしたい、5年、10年ではなく20年、30年、50年と続いていく会社にしたい思うのであれば、ビジョンの策定は必須です。上記を参考にぜひビジョン策定に取り組んでみてください。
石原 尚幸
株式会社プレジデンツビジョン 代表取締役