経営判断のミスをしないために「戦略思考」を持つ必要がある
親族経営の経営者さんの中には、「うちなんて小さな会社だから、戦略なんてそんな小難しいことは必要ないよ!」と言われる方もいるかもしれません。ですが、実はそれは「戦略」に対する大いなる勘違いです。
なぜなら、戦略とは読んで字のごとく「戦いを略する」こと。つまり、競合と戦わないためにどうすべきかを考えることです。より具体的に言えば、戦わないために自社の経営資源【ヒト・モノ・カネ】をどの分野につぎ込めばよいかを決めることです。
ヒト、モノ、カネが潤沢にある大企業は、全方位的に経営資源を配分できます。それに対し、ヒトもモノもカネも大企業ほど持てない親族企業では、必然的に、限られた事業・限られたエリア・限られた顧客層に経営資源を分配せざるを得ません。そのため、より慎重に戦略を決定していく必要があります。
さらに近年は、人不足が慢性化し、紛争と原油高を発端にしたインフレが加速。その結果として、人件費のみならず原材料費、外注費などの変動費、家賃や販促費などの固定費までもが高騰しています。
この状態で回収できない投資をしてしまうと、もう一度戦略を練り直したとしても、やり直しするために多額の資金が必要となってしまいます。そして、こういった経営判断のミスが続けば取り返しのつかない事態を招く可能性があります。
これを避けるためには、限られた経営資源を有効に活用するための戦略思考を持つことが大切です。そこでここでは、経営資源をどこに配分すべきかを導き出す「SWOT分析」という手法を活用して、親族経営の企業が取るべき経営資源の最適配分策について解説します。
SWOT分析とは?
経営戦略を考える際、「SWOT分析」はとても有効なフレームワークです。SWOT分析とは、
S(Strengths)強み
W(Weaknesses)弱み
O(Opportunities)チャンス
T(Threats)ピンチ
これら4つの要素を整理し、自社が取るべき戦略を考え出す手法です。
SWOT分析を活用する究極の目的は、「負けないポジションを見つけること」です。親族経営の企業は、多くの場合、大企業に比べて「ヒト・モノ・カネ」の経営資源が限られており、大手と同じ戦略を採っても勝つことは困難です。したがって、限られたリソースを有効活用し、「負けないポジション」を見つけることが求められます。
この手法は古くから使われてきましたが、表面的な分析にとどまり、「とりあえず整理してみたが、実際にどう活用するかわからない」といった状態に陥りがちです。よくあるのが、内部環境(強み・弱み)の分析、外部環境(チャンス・ピンチ)の分析、どちらかに偏ってしまう分析のやり方です。
自社の強みがあるからといって、世の中の需要が減少していては売上を伸ばすのは困難ですし、自社の弱みだからといって、逃げてばかりいてはせっかくのチャンスをふいにしてしまうかもしれません。
大切なのは、内部環境(強み・弱み)の分析、外部環境(チャンス・ピンチ)の分析を別々に考えるのではなく、内部環境と外部環境を掛け合わせることです。
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