老後に不安を抱える人は実際にどの程度いるのか?
長寿化が進み、長生きすること自体がリスクと言われる時代になりました。そのため、40代や50代になり定年退職が少しずつ現実味を帯びてくると、老後の生活に不安を感じるのは自然なことかもしれません。しかし、今は20代の若い世代でさえ「老後が不安だ」と感じている人が増えているのです。
それはデータを見ても明らかです。金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査』(令和5年)によると、「老後が心配である」と回答した人は84.0%。年齢別で見ると、20代が74.9%、30代が86.3%、40代が85.8%、50代が82.3%と、全世代の8割以上が老後不安を感じているという結果になっています。
では、なぜ老後が不安なのでしょうか。その理由として最も多いのが「十分な金融資産がないから」の68.1%で、2番目が「年金や保険が十分でないから」の49.3%。そして、3番目が「生活の見通しが立たないほど物価が上昇することがあり得ると考えられるから」で37.1%です。
3番目の理由に関しては、令和1年では24.4%だったものが12%以上も上昇しており、物価上昇への不安が深刻であることが伺えます。金融資産がなかなか作れず、将来受け取れる年金も足りず、物価上昇の可能性もあるとくれば、老後に不安を感じても仕方ないといえるのかもしれません。
その一方で、現役世代の半数以上が老後における生活資金源として「公的年金」をあげています。20代でも40%強が同様の回答をしており、「自分たちの時代には年金をもらえないかもしれない」といった話題がよく出るものの、やはり年金を老後の柱として考えている人は少なくないようです。
さらに、「年金でどの程度の生活ができると考えているか」という質問には、「年金でさほど不自由なく暮らせる」と回答したのが9.9%、「ゆとりはないが、日常生活費程度はまかなえる」が52.0%。しかし、38.1%は「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と回答しています。
●年齢別「老後の生活を心配する理由」
「十分な金融資産がないから」
20代:59.4%
30代:66.5%
40代:72.1%
50代:70.5%
「年金や保険が十分ではないから」
20代:32.0%
30代:42.6%
40代:44.2%
50代:47.1%
「生活の見通しが立たないほど物価が上昇することがあり得ると考えられるから」
20代:35.2%
30代:38.5%
40代:35.9%
50代:34.4%
出所:金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)』(令和5年)