銀行がすすめるハイリスクな商品
リスクがほとんどないのは「銀行預金」であって、「銀行の金融商品」がすべて安全というわけではありません。銀行は預金以外にも、さまざまな金融商品を扱っています。その中にはリスクの高いものもあるので、「銀行がすすめるのだから安全だろう」という思い込みは避けなければいけません。
その典型例が、一般的に「仕組債」と呼ばれる投資商品です。非常に複雑な「仕組み」を持つ「債券」なので、そもそも投資初心者はまず理解できないでしょう。
あえて簡単にいうなら「オプションやスワップなどのデリバティブ(金融派生商品)が組み込まれた債券」となるのですが、これだけではチンプンカンプンで「ちっとも簡単じゃない」と苦笑する人が大半だと思います。
詳しく知りたければ「仕組債」でネット検索してみてもいいとは思いますが、見たことも聞いたこともない難しい専門用語が飛び交い、ぱっと見ただけでは意味のよくわからないグラフなども出てくるので、たいていの人は「無理」とあきらめて閉じることになるでしょう。
でも、それでかまいません。きわめてハイリスクな商品ですから、初心者は理解しようとしなくてよいのでスルーしてください。日頃から「オプション」「スワップ」「デリバティブ」といった専門用語に馴染んでいるタイプの人が、あくまでも「趣味」としてやるべきものです。
ところが実際には、そのリスクを十分に説明せずに仕組債を販売する銀行や証券会社が少なくありません。そのため、個人だけでなく地方自治体や大学などが大きな損失を出すケースが相次ぎ、社会問題になっています。
それを受けて、金融庁は2010年に監督を強化。仕組債の販売にあたっては、最悪のシナリオを想定した損失額を顧客が理解できるように説明しなければいけないといった内容の文書を示しています。
念のためにいっておきますが、仕組債を販売すること自体は、法律違反ではありません。問題なのは、あくまでも「きちんと説明せずに販売すること」です。
ならばきちんと説明してから売ればよいのですが、いまも仕組債で損失を出した人たちからの苦情はなくなりません。2023年には、証券取引等監視委員会が金融庁に対して、リスクをきちんと説明せずに仕組債を販売した地方銀行や証券会社の行政処分を求めました。
「おいしい儲け話」を巧妙にすすめてくるのは、詐欺グループだけではないのです。
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