近ごろ街中でよくみかけるようになった「保険ショップ」。実際に行ったことはありますか? 複数の保険会社の商品を比較することができるため、自分に最も合った保険を選ぶことができるように思えますが、実態は異なるようで……。本記事では、我妻佳祐氏の著書『金融地獄を生き抜け 世界一簡単なお金リテラシーこれだけ』より保険ショップの落とし穴について解説します。

保険ショップの「罠」

みなさんは、街中やショッピングセンターなどで「保険ショップ」をみかけたことがあるでしょう。テレビCMも多く流しているので、知らない人はいないと思います。保険ショップは、たくさんの保険会社の商品を扱っているので、保険会社の営業マンやセールスレディから買うよりも、商品を比較して自分にもっとも合った保険商品を選ぶことができると思っているかもしれません。でも、必ずしもそうではないのです。

 

保険会社は、自社の商品を保険ショップに売ってもらうために手数料を支払っています。
保険商品を1件売ったらいくら、という形で手数料を支払うことが多いため、保険ショップとしても、商品内容に大差がなければ手数料が高い商品を売りたくなってしまうでしょう。

 

保険会社の営業マンやセールスレディも同じといえば同じですが、ひとつの会社で同じような商品をいくつも出すことはあまりないので、顧客の求めるタイプの保険商品のうち、手数料の高いものを優先して売るということはしづらいはずです。

 

そもそも、保険ショップで売っている商品は、商品をつくるときに「保険ショップで扱ってもらうためにはこのくらいの手数料を払う必要がある」というところから逆算して保険商品をつくっています。

 

なので、保険ショップで扱っている商品は、保険会社の間で手数料のつり上げ競争のようなことが発生しやすい状況になっており、むしろ割高になっている可能性が高いといえます。最近ではある保険ショップで手数料を広告費に偽装して受け取っているのではないかというような報道も出ています。

 

金融庁(当時は大蔵省)としては、1996年に保険ショップのような業態を認めたときに「保険商品の比較がしやすくなれば競争が働いて保険料は安くなるだろう」と思っていたのですが、実際に起こっていることはその逆の可能性が高いのです。

 

そもそも、ほとんどの人は保険に大して興味などありませんし、保険会社から渡されるあの分厚い資料を読む気もなければ、読んでも理解できないという人が大半でしょう。そのような状況ではまともな競争が働くわけもなく「こちらがオススメですよ」といわれれば「そんなものか」と思って加入してしまう人も多いと思います。みなさんもそうだと思いますが、自分で保険の比較などやっていられるほどヒマな人はそんなに多くないのです。

 

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※ 本連載は、我妻佳祐氏の著書の『金融地獄を生き抜け 世界一簡単なお金リテラシーこれだけ』(幻冬舎新書)の一部を抜粋・再編集したものです

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