「他の相続人の相続税」を払わないといけないケースとは?
ある相続人が相続税を滞納した場合、残りの相続人は、相続で受け取った遺産の額を限度に連帯して納付しなければなりません。これを「連帯納付義務」といいます。
連帯納付義務とは
相続人のうち1人でも相続税を納税しない人がいれば、税務署から他の相続人に納付通知書が送られることがあります。
かつては、相続からかなりの期間が経ってから納付通知書が送られてくるケースもありました。しかし、申告期限が平成24年4月1日以後の相続税については、一定の要件のもとで連帯納付義務が解消することとなりました。申告期限から5年を経過した場合、または延納や納税猶予を受けている場合は、連帯納付義務はありません。
連帯納付義務による追加の支払いを防ぐには
連帯納付義務によって支払いが督促されてからでは有効な対策はなく、泣く泣く他の相続人の相続税を払うケースも少なくありません。このようなことにならないためには、事前の対策が重要になります。
具体的には、相続人全員が納税するか確認することがあげられます。相続人どうし密に連絡を取り合って、納税の状況を確認します。相続人全員の申告から納税まで、専門の税理士に支援を依頼するのも一つの方法です。
相続人が相続税を払う前に亡くなれば納税義務は承継される
不幸にして、相続人が相続税の申告書を提出する前に亡くなることもあります。このようなときは、その亡くなった人の相続人が相続税の申告義務を承継します。例をあげて説明します。
【例】
親:2015年3月1日死亡。
子:親の相続人。2015年7月1日死亡。親の死亡に係る相続税の申告義務があったが、申告前に死亡した。
孫:子の相続人。この場合、親の死亡に係る相続税の申告・納税は、孫が行う。
申告期限は子の死亡から10か月以内(この例では2016年5月1日まで)。
届出先は親の住所地を管轄する税務署。
相続税申告は想像以上に大変な作業になる
ここまで、相続税は誰が払うかについて解説してきました。
相続税は被相続人から受け取った遺産について課税されるものであって、法定相続人であるか否かは関係ありません。また、相続税は相続人全員が均等に払うのではなく、相続した財産の額に応じて納税額は増減します。
つまり相続人ごとに支払う税額が異なるということです。
これが相続税申告が大変な理由の一つで、相続人が複数いる場合には「あなたはこのくらい財産を相続したからこのくらいの税額を支払って、あなたはこのくらいの財産を相続したからこのくらいの税額を支払う」という作業を相続人間で協力して行わなければなりません。
さらに、配偶者控除や未成年者控除、障害者控除といったそれぞれの相続人に応じた控除の特例もあり、すべてを見落としなく行うのは大変な作業であると言えます。
そんな時には、税理士に相続税申告を依頼することを検討すると良いでしょう。税理士に依頼すれば、基本的にはすべての相続人の支払うべき税額をそれぞれ算出してもらえます。そうすれば後はそれぞれが算出した税額を納めるだけなので、自分たちで計算するより手間がかからずさらに安心であるといえるでしょう。
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