母さんに寄生したくせに。…老母の介護を背負わされ、別居の姉・弟に「使い込み」を疑われた50歳バツイチ女性、号泣。母の貯金「2,000万円」が減り続けた本当の理由【弁護士が解説】

母さんに寄生したくせに。…老母の介護を背負わされ、別居の姉・弟に「使い込み」を疑われた50歳バツイチ女性、号泣。母の貯金「2,000万円」が減り続けた本当の理由【弁護士が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

超高齢化が進む日本。子どもは高齢の親の介護に手を尽くしたことで、時間や仕事を失うばかりか、人生設計まで大きく狂うといった、つらい状況に陥ってしまうことがあります。不動産と相続を専門に取り扱う、山村暢彦弁護士が解説します。

サポートのそぶりも見せない姉と弟、仕事まで失い…

しかしその後、近藤さんの姉や弟が、母親のサポートに出向くことも、金銭的な援助をすることも一切ありませんでした。

 

さらに大変なことに、近藤さんの勤務先が業績不振に陥り、不採算部門を整理することになりました。近藤さんもそのあおりを受け、失職してしまったのです。

 

「勤務先は10時6時で残業もなく、有休もとりやすくて感謝していたのですが…。姉にそのことを話し、〈就職活動しなければいけないから、落ち着くまで少し手伝ってほしい〉といったところ、〈夫の世話があるから無理〉とバッサリ…」

 

近藤さんはなんとかパート従業員の職を見つけ、勤務しつつ介護していましたが、なし崩し的に介護の比重が増えていき、いつしか介護だけの生活へと突入してしまいました。

「母の介護をした分、遺産を手厚くしてほしい」「はぁ!?」

母親が亡くなったのは、近藤さんが完全な介護生活へシフトしてから2年後のことでした。

 

「脳梗塞でした。どうやら、私が出かけてすぐ倒れたらしく、銀行やらスーパーやらで用事をすませて戻ったときには意識がなく…。搬送先の病院で、数日後に亡くなりました」

 

母親が亡くなったことで、相続が発生。近藤さんは、郊外の老朽化した自宅を売却し、母親の介護をしたぶん手厚く遺産をもらい、あとは姉と弟で2分割すればいいと考え、それを姉と弟に提案しました。

 

ところが、姉と弟はその話を聞いて激怒。その理由は以下のようなものでした。

 

●母親のお金で生きていたのだから、本来なら贈与を受けたのと同じでは。相続額が大きくなるのはおかしい。

 

●介護したかもしれないが、その分は生活費と相殺では。譲歩しても遺産分割は3等分が妥当。

 

●お金の不安があるのならきょうだいに相談すべきなのに、それがなかった。「介護のせいで離職した」というのは甘え。母に寄生していたも同じ。

 

●母親は遺族年金をもらっている。それなのに、預貯金が減っているのはおかしい。使い込みでは。

 

「母の介護という制約がなければ、再就職はできたと思っています。そもそも、親の家で、親を介護しながら暮らすことが生前贈与になるのでしょうか?」

 

「母のお金は断じて使い込みしていません。母の遺族年金は14万円で、生活するだけでギリギリです。貯金は病院代やタクシー代、エアコンや給湯器の買い替え、日常の生活のこまごました出費で預貯金が目減りしました。いずれにしろ、母の頼みで支払いを決めたものばかりです」

 

そういうと近藤さんは、ボロボロとこぼれる悔し涙をぬぐいました。

 

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