大好きな我が家だけど…老後は利便性のいいマンションに
信夫さん(62歳)は子どもも独立したことから、30年住んでいる戸建てを売却し、利便性のいいマンションへの住み替えを考えています。信夫さんが住み替えを考えるようになったきっかけは今年の夏に88歳の母が亡くなったことでした。信夫さんの母は新潟の山あいに住んでいたのですが冬に転んで足を痛めて以来、みるみるうちに体が弱ってあっという間に亡くなってしまいました。母の世話は同じ新潟に住んでいる妹に任せっきりだったのですが、都市部に住んでいる妹が母の元に通うのは大変で、最終的にわずかの期間ではありますが母は施設に入ることになりました。そんな経験もあって信夫さんは老後のことを真剣に考えるようになったのでした。
ところで、信夫さん夫婦が住んでいる家は特に妻(60)がお気に入りの家です。昔放送されていたドラマ『金曜日の妻たちへ』に憧れていた妻が、登場人物たちが住んでいるような家に住みたいと切望し、何件も家を見て回ってようやく決めた住まいでした。ちょっとしたパティオがあって、よく友人たちを招いて食事会をしたものでした。信夫さんにとっても思い出が詰まった住まいでしたが、坂が多く、どこに行くにも車が必要です。亡くなった母のこともあって、交通の利便性が良く、また病院やスーパーマーケットなどにも近いマンションのほうが生活しやすいと考え、苦渋の決断に至りました。
それでもまだ妻は自宅に未練があるようで信夫さんは「俺たちが動けなくなったらどうするんだ!」と毎晩説得。一時期はドラマのように夫婦仲は冷え切ったものの、何とか妻の合意を取り付けることに成功しました。とはいえ、妻の前では「俺に任せておけ!」と言い切った信夫さんですが、今の家はまだ住宅ローンが残っており、この状態で売れるのか。また新しいマンションを購入できるのか不安に感じています。
家の売却では、売却金額で住宅ローンが完済できることが前提
家の売却方法には「売り先行」と「買い先行」があります。
売り先行とはまず家を売却した後に新しく住む家を探す方法です。売却額から購入金額の目安がつけられるため、ゆっくりと家を探せる点がメリットですが、新しい家が見つかるまでの仮住いが必要です。さらに、引っ越しが2回になってしまい、その分費用が発生します。
「買い先行」はまず新居を購入して引っ越し、その後住んでいた家を売却する方法ですが、売却する家にローンが残っている場合は二重ローンになってしまい、家計に負担がかかります。
家を売却するときには住宅ローンを完済し、金融機関に抵当権設定の手続きを行ってもらわなければなりません。抵当権が設定されているままでは家を売却することはできないのです。そのため、今の家にまだ住宅ローンが残っているなら、売り先行で行うことをおすすめします。
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