今週の注目点…雇用関連以外の指標への反応限られる
今週は米経済指標の発表が多く予定されています。なかでも、17日発表予定の9月小売売上高は大きな注目を集めそうです。これらの結果を受けて、米金利がさらにどこまで上昇するかが、米ドル高・円安の行方に大きく影響することになると考えられます。
ただ、このところの金融市場は、米経済指標のなかでも雇用関連の統計に優先的に反応する傾向が見られます。10日の米CPI発表後の展開はその典型だったのではないでしょうか。CPIは予想より強く、瞬間的に米ドル買いの反応となったものの、すぐに米ドル売り優勢に変わったのは、同時に発表された予想より弱い失業保険申請件数に反応した結果と見られました。
9月FOMCの大幅利下げなど、このところのFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策判断は雇用関連の指標を重視しているように見受けられます。そういったことが、金融市場においても、雇用関連以外の指標への反応を限られたものにしている可能性があります。
そうであれば、基本的には11月初めに予定されている次回の雇用統計発表までは、金融市場の反応は限られる可能性もあるのかもしれません。
この間の米ドル/円と日米金利差の関係を前提にすると、米10年債利回り4.1%で米ドル/円は150円、4.2%で151円、4.3%で152円が大まかな目安になりそうですが、これまで見てきたことからすると、次回の雇用統計発表まで米金利が大きく上昇し、米ドル/円もそれを手掛かりに一段高に向かうのも簡単ではないのではないでしょうか。
米ドル/円は、4日の米雇用統計を受けて9月までの高値の147.2円を大きく上回る動きとなりました。先週はこの147.2円がサポート水準となりました。これを割り込まない限り、米ドル安・円高の反応は限られるでしょう。一方の上値は、これまで見てきたように120日MA近辺の152円が重要な分岐点と考えられます。
以上を踏まえると、今週の米ドル/円の予想レンジは147~152円。そのレンジ内で方向感の乏しい展開が続く可能性もあると考えます。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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