遺留分を請求できる場合
遺留分を請求できるのは、どのような場合なのでしょうか? ここでは、遺留分を請求できるパターンを2つ紹介します。
遺言書で遺留分を侵害された場合
1つ目は、遺言書で遺留分を侵害された場合です。たとえば、相続人が長男、長女、二男の3名であるにもかかわらず、被相続人が「長男に全財産を相続させる」旨の遺言書を遺した場合などが該当します。
生前贈与などの「特別受益」で遺留分を侵害された場合
2つ目は、生前贈与などの特別受益で遺留分を侵害された場合です。たとえば、相続人が長男、長女、二男の3名であるにもかかわらず、被相続人が亡くなる5年前に長男に対してだけ自宅の購入資金を2,000万円贈与していた場合などが該当します。
なお、1つの相続において、遺言書と生前贈与の両方があるケースも珍しくありません。
たとえば、「長男に全財産を相続させる」旨の遺言書があり、さらに長男に対して生前贈与をしていた場合などです。
「特別受益」は何年前の分まで遺留分計算の対象になる?
生前贈与などの特別受益も遺留分計算の対象になるとはいえ、あまり古いものまで計算の対象となると、遺留分の計算が困難となってしまいかねません。そこで、民法では遺留分の対象となる特別受益に一定の制限を設けています(同1044条)。ここでは、遺留分計算の対象に含まれる生前贈与について解説します。
相続人が特別受益を受けた場合
生前贈与などの特別受益を受けたのが相続人である場合、相続開始前10年以内になされたものが遺留分計算の対象となります。ただし、被相続人と贈与を受けた相続人とがいずれも遺留分権利者を害することを知って贈与を行った場合は、10年以上前のものであっても遺留分計算の対象となります。
被相続人の財産がその後増える予定がないにもかかわらず遺産の大半を生前贈与した場合は、遺留分権利者を害すると知っていたと判断される可能性があるため注意が必要です。
相続開始前10年以上前にした贈与が思いがけず遺留分計算の対象となる事態を避けるため、多額の生前贈与をしようとする際は、あらかじめ弁護士へ相談することをお勧めします。
相続人以外の者が特別受益を受けた場合
生前贈与などの特別受益を受けたのが相続人以外の者である場合、相続開始前1年以内になされたものが遺留分計算の対象となります。相続人以外の者とは、たとえば相続人ではない孫や、子どもの配偶者などです。
ただし、こちらも遺留分権利者を害することを双方が知って行った場合は、1年以上前の贈与であっても遺留分計算の対象となります。
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