※画像はイメージです/PIXTA

身近な人が亡くなって葬儀を終えたのも束の間、故人の遺産について相続税がかかってしまうのではないかと心配する人も多いでしょう。実際は、相続税が免除されるケースが全体の約91.5%を占め、相続税を支払う必要のある人はたったの8.5%程度の人たちに限られています(2019年12月時点)。では遺産がいくらであれば、相続税を支払う必要があるのか? 解説していきます。

同居していた自宅や賃貸アパートの土地も相続税免除

「配偶者の税額軽減」と同じく、申告書を作成し提出することを要件に免除が受けることができる代表的な規定で「小規模宅地の特例」というものがあります。

 

この制度は、故人と同居していた自宅や賃貸アパートの土地は、相続人の生活の基盤であるため、一定の範囲内で相続税が免除するというものです。相続した土地の価格のうち、自宅は80%の部分について、賃貸アパートは50%の部分について相続税が免除されます。

 

このほか、故人が事業をしていた場合は、その事業用の土地も80%の部分が免除の対象になります。相続税の免除を受けるには、税額が0であっても申告期限までに税務署に申告書を提出しなければなりません。

 

このほかにも、相続した土地の用途ごとに条件があります。配偶者が自宅を相続する場合は無条件ですが、それ以外の人が自宅を相続するときは、相続人が土地を保有してそこに居住するなどの条件があります。賃貸アパートや駐車場、事業所であれば、相続人が引き続き土地を保有して事業を継続する必要があります。

 

また、相続税が免除される面積には上限があります。相続した土地の用途と、相続税が免除される面積の上限、相続税が免除される割合の関係は次のとおりです。

 

[図表5]小規模宅地などの特例による相続税の免除割合

 

[図表6]小規模宅地等の特例ができる面積の例

相続税が免除される金額が税理士の技量に左右される場合も

ここまでご紹介してきたとおり、相続税にはさまざまな免除の仕組みがあります。とはいえ、その免除の仕組みを使えるかどうか、どのくらい免除されるかはそのケースによって大きく異なってきます。

 

ここではそれぞれの仕組みを簡単にご紹介しただけですが、実際にはそれぞれに複雑な要件があり、税理士でさえその判断が人によって分かれることもあるのです。免除される金額も要件によって異なる場合があり、申告を行う人の技量によって相続税額が大きく変わることもあります。

 

ここまでご説明してきた仕組みを活用しても相続税がかかりそうだ、という方は、相続税に強い税理士にご相談することをオススメします。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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