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長期入居者によるリスク
不動産投資を行う際には、長期入居者によるリスクも想定しておかなければなりません。では、購入を検討中の物件に長期入居者がいるかどうかは、どのようにわかるのでしょうか?
答えとしては、仲介する不動産会社に確認することです。物件の購入前には、賃貸条件が記載されているレントロールも確認する必要があります。しかし、レントロールでわかることは、2年ごとの更新時の条件についてです。購入を検討する物件で2年以上前に起きたこと、これも把握しておくことは非常に重要です。入居者の更新条件だけではなく、原契約がいつかという点も、筆者は今回ご紹介した事例が起きて以降、調べるようになりました。
基本、賃貸は2年に1度更新がありますが、5年、10年と長く入居している入居者がいないか、不動産会社へ確認するようにしましょう。物件を所有中のタイミングで長期入居者の退去が発生し、大きな原状回復費用の負担が発生するか否かは、事前確認によってある程度予想ができるようになります。
単身者向けとファミリー向け、それぞれのメリット・デメリット
単身者向け物件の平均回転数は多くの場合、3年程度。しかしファミリー向けの回転数は、単身者向けと比較して長い場合が多いです。
単身者向けのデメリットは、3年程度で退去してしまうため、空室リスクがその分高いということ。転勤時期などには10部屋あると、だいたい2部屋は空室になるようなケースが多いです。
一方ファミリー向けは、特に子どもがいる家族が住む場合、子どもが小学校に入るタイミングで引っ越そうなどという考えが生まれることから、6年程度は退去しない、など空室になりづらいです。出入りを気にし過ぎなくてよいということはメリットですが、これまで述べてきたようにデメリットも忘れてはいけません。
退去1回分の単身者向けのリフォーム代とファミリー向けのリフォーム代は、大きな差があります。ファミリー向けのほうが、面積も3倍程度大きいですから、当然でしょう。さらに、筆者の物件のように10年間や19年間と長期にわたって住まれた場合、さらに大きな負担となります。
単身者向けの場合、物件の広さはもちろんさまざまですが、20平米程度の物件をだいたい3年ごとに1回直していくイメージです。3年程度でボロボロにされてしまうケースはそうそうありません。
ファミリー向けで、10年住み続けたあとに退去された場合には、多くのケースで部屋中にリフォームが必要な場所が見つかります。キッチンやトイレなどの水回りも取り換えなければならないことも。そうすると、やはり多額の費用がかかります。
したがって、単身者向けとファミリー向け、どちらも一長一短といえるでしょう。大切なことは、両方の特徴を踏まえたうえで、このようなリスクがつきものであることを認識し、心構えをしておくことです。想定外のことになったとしても、慌てず冷静に判断をすることで、健全な賃貸経営を守ることができるでしょう。
沖田 豊明
沖田不動産鑑定士・税理士事務所
不動産鑑定士
税理士
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