介護業界で起こっているコンプラ違反とそのカタチ
昨今、介護報酬不正請求等のコンプライアンス違反(コンプラ違反)により行政処分を受け、指定取り消しや効力停止に至る介護施設・事業所が後を絶ちません。何故このようなことが起きるのか、そしてコンプラ違反を起こさないためにはどうすればよいのか。この問題は、介護業界全体が「明日はわが身」と思って取り組まなければならないものです。
介護経営者は、国から介護報酬を得ている以上、コンプライアンスを厳しく遵守しなければなりませんが、同時に経営も成り立たせなければならず、その過程で多くのコンプラ違反が起きているのが現状です。
最近では、食費の過剰請求により大手介護会社Mグループが指定取り消し処分を受け、訪問介護最大手だったC社による介護報酬不正請求事件(2007年)もいまだ記憶に新しい中で、双方に共通するのは法令遵守とビジネスにおける「バランス感覚の欠如」といっても過言ではありません。
収益性に特化するあまりコンプラ違反を犯し、あるいは法令遵守に集中しすぎることで報酬改定等で倒産してしまう。右でも左でもない第三の道をどう見つけるか、これは業界全体で考えていかなければならない課題であり、そうでなければ第二・第三のMグループが生まれてしまいます。
この問題を考える上で、まず認識すべきは「コンプラ違反に至る要因」であり、そこには経営者の特性が大きく関与していると思われます。長年、業界を見続けている中で、経営およびマネジメントを主眼として介護業界に参加する方には、大別すると3つのパターンがあるように思えます。
1つ目は、ビジネスとして介護業界に興味を持ち、参入する“ビジネスマン”。2つ目は、もともとケアの仕事をしていて、「利用者さんに感謝されるのが好き」といった素朴な思いで現場を担ってきた人が、自分なりの介護の形を実現しようと起業する“エッセンシャルワーカー”。3つ目が、社会活動家として、社会変革を志向する“正義の人”です。
こうしたそれぞれ入り口、すなわち「どのような動機でこの業界に入ったのか」が、それぞれのコンプラ違反のカタチ、言うなれば運命を決めているようなところがあります。
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