高金利下の欧米で存在感を放つプライベート・デット・ファンド
バブル崩壊後に人気化した高利貸しを題材にした漫画・TVドラマ・映画の『ナニワ金融道』。そこで描かれている世界は、高金利下では資金の貸し手は借り手に対して圧倒的に有利な立場に立っていることだろう。
日本では、主に信用力の低い中堅・中小企業への融資には、地方銀行、商工ローン、信用金庫、信用組合などが対応しており、依然、プライベート・デット(PD)・ファンドの規模は極めて限定的だ。
しかし、欧米では高金利環境を背景に、中堅・中小企業を対象に直接融資を行うPDファンドが近年、急速に台頭している。
オルタナティブ投資調査会社プレキンによると、PDファンドの運用資産残高(AUM)は、2023年6月末時点で1.7兆ドル程度とプライベート・エクイティ(PE)・ファンドの5分の1程度の規模であるものの、過去10年間で4倍近く残高が拡大しており、米国を中心に存在感が増しているという。
借り手側では、相対交渉による融資のスピードと柔軟性に加え、高いカスタマイズ性を評価する企業が増加している。
一方、貸し手側では、世界金融危機後の規制による銀行貸出の縮小やリスク分散、非上場企業の増加、継続的な金利低下による投資家の利回り追求などを背景に、年金基金や保険会社など機関投資家や富裕層・個人投資家などの参入が相次いでいる。