投資のポイントは「ビンテージ・イヤー」の見極め
プライベート・エクイティ(PE)投資とワイン投資のおいしい共通点
フランク・シナトラが歌った「It Was A Very Good Year(とても良い年でした)」という名曲があるが、プライベート・エクイティ(PE)投資にもワイン投資と共通するビンテージ・イヤーの「Very Good Year」がある。
ワイン用のブドウ収穫には当たり年を意味するビンテージ・イヤーという言葉が使われるが、PE投資でもビンテージ・イヤーという言葉を使い、投資資本が最初に流入した年を意味する。
当たり年に醸造されたワインは当初は安い価格で市場に流通するが、年月を経て、在庫数が減るに従い、価格が上昇して行き、数十年後には入手が困難な希少で非常に高価なビンテージ・ワインとして取引される。
欧米など海外の富裕層のなかには、自らワイナリーに赴き、大量に購入してワインセラーで長期間にわたり寝かせ熟成を楽しむほか、価格が上昇した後に、オークションへ出品するなど、投資先のひとつとの考え方がある。
同様に、PE投資の世界でも産業構造の変化や経済・政治・社会情勢、および景気サイクルの局面を分析して、売買のタイミングを計ることが重要だ。特に景気のボトムあるいはピークで発生するビンテージ・イヤーは、企業が過大評価または過小評価され、初期投資以降の収益に影響を与える可能性が高いことに留意が必要だ。
PEファンドは、未上場の新興企業へ投資し、企業価値を増大させた後、資金を回収・現金化するが、景気の波にうまく乗らないと大きな成功にはつながらない。
たとえ将来が有望なベンチャー企業に投資しても、景気後退局面や政治環境などが逆風では、急成長が見込めるとは限らず、資金繰りに苦しむなかで時間を非効率に費やすことになりかねない。
半面、景気、政治、産業構造の変化が順風であれば、消費・需要拡大の波に乗って想定を超えて急成長する場合もある。