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相続税の申告を行ったあとに、もう一度申告し直したいと思ったとき、どのような手続きで行えばいいのでしょうか。ここでは、「相続税の更正の請求」を行い、国から相続税を取り戻すための方法について解説していきます。

「相続税の更正の請求」とは

一度、相続税の申告をしたが、間違えていた、もしくは状況が変わったなどの理由でもう一度相続税申告をやり直して、一度納めた相続税の還付を受けることを「相続税の更正の請求」といいます。なお、相続税の申告のやり直しに伴い追加で相続税の支払いが必要になる場合には「相続税の修正申告」と言います。

 

●税金を取り戻す手続き → 「相続税の更正の請求」

●税金を追加で納める手続き → 「相続税の修正申告」

「相続税の更正の請求」の期限

「相続税の更正の請求」はいつでもできると言うわけではなく、期限が定められています。

 

原則、相続開始(死亡日)から5年10ヵ月以内、つまり相続税の申告期限から5年以内となっています。ただし、特別な事情がある場合にはこの5年という期限によらず、その事由発生から4ヵ月以内という期限になっています。これらの期限について詳しく見ていきましょう。

 

原則は相続開始から5年10ヵ月以内

「相続税の更正の請求」は、相続税の申告期限から5年と決まっています。そして、相続税の申告期限は相続の開始を知った日から10ヵ月となっており、通常は死亡日=知った日となることが多いと思いますので、死亡日より10ヵ月が相続税の申告期限となります。よって、「相続税の更正の請求」の期限は相続開始から5年10ヵ月となっています。

 

たとえば、相続開始日(死亡日)が2016年5月1日の場合、申告期限が2017年3月1日、そしてその5年後の2022年3月1日が、「更正の請求」の期限となります。

 

特別な事情がある場合には事由発生から4ヵ月以内(更正の請求の特則)

特別な事情がある場合には、それらの事由が発生したことを知った日の翌日から4ヵ月以内であれば「更正の請求」が可能となります。これは、前述の5年10ヵ月という期限を過ぎていても可能となります。これは、相続税法第32条第1項(更正の請求の特則)で定められています。

 

この「特別な事情」とは、どういった場合なのかを以下に5つご紹介します。

 

(1)未分割の財産が分割された場合

相続税の申告期限までに相続財産の分割がまとまらなかった場合は、法定相続人が法定相続分で取得したものとみなして、一旦仮で申告をします。その後、遺産分割を行った場合に各相続人が取得した相続財産の課税価格が先に申告した額から減少した場合です。

 

(2)認知、廃除等による相続人の異動があった場合

子供の認知、相続人の廃除、廃除の取り消しによる相続の回復または相続放棄の取り消しなどにより、相続人が異動(相続人に変更が生じた)した場合です。

 

(3)遺留分の減殺請求による返還があった場合

遺留分の減殺請求をされて、相続財産から支払った場合です。相続人である配偶者や子、父母などが最低限相続できる法律で定められた割合を遺留分といいますが、遺留分が侵害された相続人は他の相続人から取り戻すことができます。これを遺留分の減殺請求といいます。

 

(4)未分割の財産が分割されたことにより軽減措置や特例が適用できる場合

申告期限から原則3年以内に未分割の財産が分割されたときは、「配偶者に対する相続税額の軽減」や「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」等が適用できます。これらを適用して、相続財産の課税価格が先に申告した額から減少した場合です。

 

(5)遺贈にかかる遺言書の発見、遺贈の放棄があった場合

遺贈をする旨の遺言書が見つかった場合、また遺贈が放棄された場合です。「相続税の更正の請求」の期限に関する解説は以上となります。次に、「相続税の更正の請求」の実際の手続について解説をしていきます。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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