東西ドイツ統一直後のペースを上回る水準の「建設ブーム」に沸くベルリン。今回は、この「建設ブーム」の最新事情を見ていきます。

ベルリンに林立する建設用クレーン

ベルリンはドイツ政治の中心地ですが、現在は建設の面でも、ダイナミックなハブとなっています。街なかを悠々と流れるシュプレー川沿いには、建設クレーンが林立するさまが見て取れますが、ドイツのほかの都市では、このような景観は見られません。

 

 

林立するクレーン
空前の建築ブームに沸くベルリンの街

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この建設ブームは、この先しばらく勢いを弱めることはないでしょう。

 

今後3年間で、約55,000件の新しい建設プロジェクトが完成する予定です。これは、2015年から2017年の間に建設が予定されている、100,000件以上のプロジェクト許可数に基づき算出された数字です。

 

2014年だけを見てみると、合計20,000件の建設許可が出ています。2015年から2017年にはこの数字がさらに増加すると見られ、年平均では35,500件に上るでしょう。これは、東西ドイツ統一後に見られた増加率を上回る計算になります。

新築が増える一方で、中古価格も上昇が続く傾向

この建設ブームの背景には、いくつかの理由が挙げられます。最も重要なのは、新しい居住者の流入が続いていることです。現在、年平均で約4万人がベルリンへ引っ越してきており、この数は今後増え続けると予想されています。

 

2013年末時点で、ドイツの首都には約190万の居住用アパートがありました。増え続ける都市人口に対応する形で、2030年までにさらに14万件の需要が生じるだろうと、ベルリン議会は予測を立てています。ユーロ圏の経済見通しを巡る不安感が払拭されないこと、また、ベルリンの低金利が維持されていることもあり、この都市の有形資産投資、不動産の需要増加が後押しされています。

 

しかしながら、建設ブームとはいっても、土地購入/プラニングの段階から建設許可が下りるまでのプロセスが慎重に進められ、時間がかかるため、この建設景気がもたらす好影響が実際に感じられるまでには、まだしばらく時間がかかりそうです。

 

そしてまた、この都市がドイツ国内の他都市に見られるような過密状態を呈する心配はありません。ベルリンには、新たな居住用建設プロジェクトを可能にするスペースが潤沢に存在しているからです。ベルリンおよび他の市街地でも、不動産市場における物件数不足から生じている圧力は、今後緩和されるでしょう。

 

2010年以降、国内全体で建設許可数は増加しており、この傾向は今後も維持されると見られます。ドイツ連邦統計局の報告では、2015年1月から3月にかけて建設許可が下りた居住用マンション建設プロジェクトは、その前年の同期間に比べ1.5%増となっています。

 

 

中古物件も価格上昇を続けています。

 

1960年代までは、「アルトバウ」と呼ばれるレンガ造りの建物が建設されていましたが、その後、この建設様式は、鉄筋コンクリート等の新しい方法へと移行しました。そのため、1960年代から少しずつアルトバウの比率が下がってきています。そして需要と供給の法則により、この中古物件の価値は上がり続けることが予想されます。

 

アルトバウと新築物件の比率
アルトバウと新築物件の比率
 

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