(※写真はイメージです/PIXTA)

多くの人にとって老後の収入の柱となる年金。老後不安が強まる昨今、1円でも多くもらえれば嬉しいでしょう。多くもらうためには、「繰下げ受給」という選択肢もありますが、人によっては、むしろ損をする可能性もあって……。本記事では、Aさんの事例とともに繰下げ受給の注意点について、波多FP事務所の代表ファイナンシャルプランナーである波多勇気氏が解説します。

繰下げ受給で後悔しないためには

こうしたデメリットが潜んでいることから、年金の繰下げ受給はいいことばかりではありません。では、Aさんはいったいどうすればよかったのでしょうか? 同じ轍を踏まないために意識しておくべきことを3つ、まとめました。

 

ポイント1.「受給対象外になる年金」に注意

Aさんが受け取れなくなった加給年金のほかに、「特別支給の老齢厚生年金」も繰下げ受給の対象外となります。

 

特別支給の老齢厚生年金は、老齢厚生年金の受給開始の年齢が65歳に上がったことにより、60~64歳までのあいだに特別に支給される年金です。男性は1961年4月1日よりも前、女性は1966年4月1日よりも前が生年月日である場合、支給の対象となります。繰下げ受給をすると、60~64歳までのあいだに受け取れず、さらにこの年金は75歳からの増額の対象となることもありません。

 

ポイント2.重要な決断を下す前にライフプランをつくる

ライフプラン、すなわちキャッシュフローは人生における羅針盤といえます。今回のケースでも、ライフプランを作成していれば加給年金の存在に気がついたかもしれません。損得の勘定も容易になりますし、子にかかる教育費も算出できます。そうすれば、65歳からの10年間がどれほど重要だったか把握できたでしょう。

 

ライフプランはプロに依頼することが無難ではありますが、最近では自分で作成できるシステムなどもリリースされています。もしいままでライフプランを作成したことがなければ、プロに依頼しましょう。プロによるライフプランを作成してもらうことで、老後のキャッシュフローが把握できていれば、税金面での注意点にも気がつけた可能性が高いです。

 

ポイント3.自分で投資することも視野に入れる

繰下げ受給をしなくとも、適切な投資を自分でできるのであればそれも選択肢の1つです。セカンドライフを迎えてからではとれるリスクにも限りがあります。なるべく早いうちから意識しておくべきといえるでしょう。受け取った年金や退職金の一部を運用して、取り崩しながら生活するイメージを持ちましょう。

決断の前に一度立ち止まってみる

Aさんは老後の不安から繰下げ受給を選択し、結果的には後悔することになってしまいました。人は不安が強いと冷静な判断ができず、性急に決断をくだしてしまいがちです。

 

不安に苛まれる前に、なるべく早くライフプランを作成してお金の流れをつくってしまうことを強くお勧めします。

 

 

波多 勇気
波多FP事務所
代表ファイナンシャルプランナー

 

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