(※写真はイメージです/PIXTA)

セカンドライフのための生活資金は、日に日に重要度が高まっています。年金はそうしたセカンドライフを支える資金の土台となるでしょう。しかし、年金制度の理解が不足していると、後々憂き目に遇うケースも……。本記事では、Aさん(65歳・専業主婦)の事例とともに、「配偶者の死」による年金への影響について、波多FP事務所の代表ファイナンシャルプランナーである波多勇気氏が解説します。

専業主婦の老後への希望

「俺たちの老後は、年金がしっかりもらえる予定だから安心していいよ」

 

毎年届くねんきん定期便を眺めながら、セカンドライフに期待を寄せる夫の姿はAさんにとって印象的でした。59歳の誕生月には、「ほら、ここを見て」と夫に指さされた書類を見てみると、年金の見込み額が記載されていました。

 

Aさん自身は国民年金のみの加入ですが、夫の厚生年金もあわせれば月々20万円程度の年金を受け取ることができそうです。お金のことは夫に任せっきりだったため、「夫が安心だというなら、そうなのだろう」と納得していました。

 

Aさんはこれまで専業主婦として家族を支え、夫から毎月渡される生活費の中でやりくりしてきました。貯蓄もそれなりに預金口座に貯まっていることを夫から教えてもらい、Aさんにとって、夫と過ごすセカンドライフには、なんの不安もなかったのです。

 

年金激減の理由

ところが、ある日突然夫が急死。事態は急展開を迎えます。収入の柱となる厚生年金の受給が途絶えたのです。

 

「年金と貯蓄があるから、老度にはなんの不安もなかったのに、こんなに1人になると、年金が少なくなるなんて。怖い、今後が怖くてたまらない……」Aさんは頼りの夫をなくし、年金までもが大幅に減少してしまったのです。夫が亡くなり、夫の分の生活費がなくなったとはいえ、日々の生活費や医療費を思うと、困難な状況といえます。

頼みの綱、遺族年金

そうはいっても、夫を亡くしたのであれば遺族年金がもらえるのでは?と考えた方も多いでしょう。しかしながら、遺族年金として支給されるのは夫が受け取っていた厚生年金の4分の3です。

 

夫婦で受け取れる年金額は月額約20万円の見込みであり、夫の厚生年金部分は月額15万円程度です。これが遺族年金となると、約11万円と4万円の減額になってしまいます。

 

すでにセカンドライフを迎えているAさんにとって、この減額は決して少ないものではありませんでした。

 

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