(※写真はイメージです/PIXTA)

多くの人にとって老後の収入の柱となる年金。老後不安が強まる昨今、1円でも多くもらえれば嬉しいでしょう。多くもらうためには、「繰下げ受給」という選択肢もありますが、人によっては、むしろ損をする可能性もあって……。本記事では、Aさんの事例とともに繰下げ受給の注意点について、波多FP事務所の代表ファイナンシャルプランナーである波多勇気氏が解説します。

早く年金を受け取っていれば…

Aさんが75歳になるまでのあいだに、健康状態は悪化しました。ある程度は覚悟していたものの、加齢に加え病気を患ってしまうと治療費や介護費用が嵩んでしまいます。勤めていたころは会社の保険が適用されましたが、いまとなってはそれもありません。個人で加入している最低限の保険からしか給付がされないなか、苦戦を強いられる10年となってしまいました。

 

年金を先に受給していれば、元気なうちに家族と趣味や旅行を楽しめたかもしれない。そう思わずにはいられませんでした。

加給年金の落とし穴

「えっ……」75歳になったAさんは困惑します。

 

75歳になって年金を受け取りはじめ、加給年金の存在に気がついたのです。加給年金とは、厚生年金の被保険者が65歳に達した際、配偶者や子どもなどを扶養している場合に、老齢厚生年金に追加するかたちで支給される年金のことです。

 

Aさんの妻は現在55歳、2人の子どもがいます。年の離れた妻子を持つ場合、加給年金は多額に上ります。具体的な計算は下記のとおりです。

 

配偶者に対する加給年金

加給年金は、配者が65歳未満である期間に支給されます。Aさんの妻は現在55歳なので、65歳になるまでの10年間、加給年金を受け取る権利があります。

 

配偶者に対する加給年金の年間額は24万4,000円です。受け取りの総額は10年間で224万円です。

 

22万4,000×10=224万

 

子どもに対する加給年金

加給年金は、子どもが18歳未満である期間に支給されます。Aさんの子どもは現在15歳と
16歳なので、それぞれ3年間(15歳の子ども)と2年間(16歳の子ども)の加給年金を受け取る権利があります。

 

子ども1人あたりに対する加給年金は年間22万4,000です。加給年金の総額は、336万円にものぼります。

 

・1人目の子どもに対する加給年金:22万4,000×3=67万2,000

・2人目の子どもに対する加給年金:22万4,000×2=44万8,000


一方で、増えた年金は年間で151万2,000円です。3年受給すればキャッシュフロー上は得ではありますが、Aさんにとって65歳から75歳までの元気で子どもたちのためにもつかってあげられる期間に受け取れる336万円には、額面以上の魅力がありました。

 

その事実にあとから気づいてしまったのです。

税金上の注意

とりわけ75歳以上の方にとっては、税制面においても注意が必要です。後期高齢者医療制度では所得が145万円以上の場合、医療費の自己負担割合が30%に上がるからです。

 

さらに高額療養費制度の上限額まで、1.4倍程度まで上がってしまいます。せっかく繰下げ受給でもらえる年金額が増えても、医療費が余分にかかるようでは元の木阿弥です。

 

2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>

 

注目のセミナー情報

​​【税金】11月27日(水)開催
~来年の手取り収入を増やす方法~
「富裕層を熟知した税理士」が考案する
2025年に向けて今やるべき『節税』×『資産形成』

 

【海外不動産】11月27日(水)開催
10年間「年10%」の利回り保証
Wyndham最上位クラス「DOLCE」第一期募集開始!

次ページ「繰下げ受給」で後悔しないための3つのポイント

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録