大暴落が起きると「2番底」を伴うが…今回は「回避できる」といえる理由【ストラテジストが解説】

大暴落が起きると「2番底」を伴うが…今回は「回避できる」といえる理由【ストラテジストが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

本記事は、マネックス証券株式会社が2024年9月13日に公開したレポートを転載したものです。

ファンダメンタルズは堅調

図表1は、QUICKコンセンサスによる日経平均株価の今期予想EPS(一株当たり利益)とドル円相場を示したものである。予想EPSは細かなアップ&ダウンはあるものの、上昇トレンドを維持している。これほど円高に動いても、業績の下方修正はほとんど起きていないように見える。アナリストはそんなにも楽観的なのか? いや、そんなわけはない。下方修正もあるが、それを上回る上方修正が続いているのである。

 

出所:QUICKデータより筆者作成
[図表1]日経平均株価の今期予想EPSとドル円推移 出所:QUICKデータより筆者作成

 

図表2はIFISによるリビジョン・インデックスだ。直近では上方修正145回に対して、下方修正が139回、まだ上方修正のほうが多いのである。

 

出所:経常利益予想修正回数の推移(週次)
[図表2]経常利益予想修正回数の推移(週次) 出所:アイフィスジャパンより

 

これだけの円高である。当然、下方修正は起きているのだ。下方修正のトップ3業種は、ご想像のとおり、電機、自動車、機械である。直近の1週間、電機の下方修正だけで30回を超えている。しかし、上方修正も多いのだ。上方修正のトップ3業種は、情報通信、小売り、銀行とみごとに内需系が並んでいる。

 

まとめると、円高で外需産業は業績の下方修正が起きているが、それを上回るペースで内需企業の業績が上方修正され、日本株全体ではしっかりとEPS成長が維持されている。

 

ファンダメンタルズは堅調である。財務省と内閣府が昨日(9月12日)発表した7~9月期の法人企業景気予測調査は、大企業全産業の景況判断指数(BSI)がプラス5.1だった。2四半期連続で「上昇」が「下降」を上回った。10~12月期は大企業がプラス7.2とこの先もさらに景況感が改善していく見通しが示された。

 

為替について述べると、直近の日銀短観によれば大企業・製造業の下期の想定為替レートはドル円で142円50銭程度である。現状並みの円高であれば、企業の想定レートどおりであり、下方修正ラッシュということにはならないだろう。

 

こうした状況を勘案すると、過去に見られたような、タイムラグを伴ってファンダメンタルズが悪化して2番底を迎えるというパターンは今回は回避できるように考える。したがって、これ以上、押す場面があれば、積極的に拾っていってもいいだろう。

 

 

広木 隆

マネックス証券株式会社

チーフ・ストラテジスト 執行役員

 

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