(※写真はイメージです/PIXTA)

日本の名目GDPが2023年にドイツに抜かれ、世界第4位に転落しました。2026年にはインドにも抜かれると見込まれていて、日本のGDP成長率、ひいては国際的な地位に対する不安の声も聞かれます。しかし、実際に日本の生活水準は低いのでしょうか? 本記事では、帝国データバンク情報統括部の『帝国データバンクの経済に強くなる「数字」の読み方』(三笠書房)より一部を抜粋、再編集して、数字の見方と実態をご紹介します。

日本の「生活水準」は低いのか?

さて、順位が変わりつつも経済大国であることに変わりはない日本ですが、国民の生活水準を表わすGDPを人口で割った「一人当たりGDP」の順位もみておきましょう。

 

IMFの同データベースでは2022年の日本の一人当たりGDP(名目、ドル建て)は世界第32位の3万3854ドルでしたが、2023年(3万3950ドル)は第34位に下落すると予測されています。PPP換算でみても、2022年と2023年の日本はいずれも36位で、高い水準とは言えません。

 

日本の経済規模を示すGDPは世界トップクラスであるにもかかわらず、なぜ一人当たりGDPとなると、このような水準になってしまうのでしょうか。

 

2023年の一人当たりGDP(名目、ドル建て)の世界ランキングをみてみると、トップはルクセンブルク、次いでアイルランド、スイスが続きます。これらの国を含め上位にランクインしている多くの国の共通点の一つは、人口が比較的少ないところです。

 

なかでも、ルクセンブルクやスイスは労働人口に占める越境労働者の割合が大きく、多くの付加価値を生み出している割に人口が少ないためGDPを一人当たりに換算すると値が大きくなってくるのです。逆に、名目GDPが世界第2位の中国の一人当たりGDPは第75位でした。

 

この点を考えれば、日本の一人当たりGDPの順位が上位でない一因は人口の多さと言えそうです。しかし、一人当たりGDPが上位の国のなかには、人口が少ないなかで有力な金融機関の集積地である国や、競争力が高い国、IT導入などによる効率化で生産性が高い国がみられます。

 

加えて、人口が日本の2倍以上であるアメリカの一人当たりGDPの順位は第7位と高順位であることも考えると、人口の多さではなく、根本的な原因は生産性の問題などほかにもあると言えるかもしれません。

 

このように、各種GDPはその国・地域の特徴やその時の経済環境などによって傾向が全く異なるものになり得ます。特に国際比較をする場合は、一つの視点にしぼらずに、さまざまな視点から分析することが必要と言えます。

 

今回、日本の経済規模の位置付けが低下したのは一時的とみられる要因によって起こったと考えられます。しかし、実質GDPの成長率をみると、日本が長い間高い成長を遂げていない状況は確かであり、それも一つの要因ではないでしょうか。

 

実際、同じIMFの予測では、日本は2026年に年々著しい成長をみせているインドにも抜かれて、第5位になる見通しとなっています(図表)。日本の経済成長率が高まらなければ、今後はこういった新興各国にも抜かれていくでしょう。

 

日本が国際的地位を保つためにも、生産性の向上やイノベーション、競争力向上につながる施策など中長期的に経済成長を高める対策が求められています。

 

 

帝国データバンク情報統括部

 

 

杉原 杏璃 氏登壇!
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
(入場無料)今すぐ申し込む>>

 

注目のセミナー情報

【国内不動産】12月25日(水)開催
フルローン×1都3県・駅チカ物件で利回り7%超×買戻し特約で投資家殺到!
「カインドネスシリーズ」年末特別説明会

 

​​【海外不動産】12月26日(木)開催
10年間「年10%」の利回り保証・Wyndham最上位クラス
「DOLCE」第一期募集開始!

 

​​【事業投資】12月26日(木)開催
年利20%の不動産投資の感覚で新しい収益の柱を構築
ブルーオーシャン戦略で急拡大!
いま大注目のFCビジネス「SOELU」の全貌

 

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

帝国データバンクの経済に強くなる「数字」の読み方

帝国データバンクの経済に強くなる「数字」の読み方

帝国データバンク 情報統括部

三笠書房

円高、株価の最高値更新、企業の最高益、賃上げ、物価高……など、日本経済は明らかな「潮目」に来ている。 その激変を示すデータ、経済ニュースを賑わす数値を読み解くことで、「今」と「これから」が見えてくる──さまざま…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧