承継後、銀行の融資が困難になるケースも…事業承継で起こりうる「トラブル」を避けるために、必ずやっておきたい〈事前準備〉【CFPが助言】

承継後、銀行の融資が困難になるケースも…事業承継で起こりうる「トラブル」を避けるために、必ずやっておきたい〈事前準備〉【CFPが助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

事業承継において、株式会社の場合は、後継者に株式の全部または大部分を引き継がせることになります。後継者が血縁者であっても、従業員等であっても、事業の引継ぎに伴う混乱やダメージを最大限抑え、スムーズに承継できるような対策が必要です。今回は、ファイナンシャルプランナーの中山国秀氏が、スムーズな事業承継のコツについて解説します。

「中小企業経営承継円滑化法」による「4つ」の手当て

上記のような問題について、「中小企業経営承継円滑化法」によって下記のような手当てがされています。

 

1.遺留分の計算から、承継対象の事業用資産を除く手続き

先代経営者の生存中に、後継者は「遺留分」をもつ人(=遺留分権利者)全員とのあいだで、承継対象の事業用財産;株式を遺留分の計算から除くという合意をとることができます。

 

ただし、この手続きをとる場合は

 

・後継者は経済産業大臣の「確認」を受ける必要がある

・本来の相続人の遺留分が少なくなってしまうため、家庭裁判所の許可が必要となる

 

などの注意点があります。

 

2.「中小企業信用保険法の特例」による融資(会社)

会社として、事業承継の際に必要なお金を金融機関等から融資してもらう場合に限り「信用保証協会」に特別に保証された枠をもらうことができます。

 

ただしこの際には、経済産業大臣の認定を受ける必要があります。

 

3.「日本政策金融公庫法」「沖縄振興開発金融公庫法の特例」による融資

こちらは会社全体でなく後継者個人への手当てですが、必要な資金を「日本政策金融公庫」「沖縄振興開発金融公庫」から低利率で融資してもらうことができます。

 

ただしこちらも、経済産業大臣の認定を受けることが必要です。

 

4.「納税猶予」の制度

未上場の中小企業の株式については、納税猶予の特例が設けられています。

 

後継者が親族の場合には「相続税・贈与税」の支払いが猶予され、後継者が親族でない場合には「贈与税」の支払いが猶予されます。上手に活用すれば、“事実上の免除”も可能です。

 

後継者の負担を軽くするために整備されたこれらの制度ですが、決して万全とはいえません。したがって、事業承継にかかる相続税や贈与税の対策を早い段階で講じておくことがもっとも理想的であるといえます。

 

 

中山 国秀

生活設計本舗 秀ちゃん

ファイナンシャルプランナー

 

 

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