人材を確保するために給与を上げる必要があることから、「人件費」が高騰しています。しかし、一歩対応を間違えると「人件費倒産」という事態にもなりかねません。経営コンサルタントの石原尚幸氏によれば、闇雲に給与を上げる前にやるべきことが「3つ」あるといいます。その内容を見ていきましょう。
2.「業務棚卸」でやるべき仕事を絞り込む(ABC分類)
人件費の高騰を抑制する策として、業務の絞り込みが有効です。平たく言えば、自社でやるべきこととやらないことを仕分けすることです。今時、雑務を外注でやってくれる会社は山ほどあります。フリーランスで外注を受ける人もいますよね。
ですが、「自社でやらなくていい業務を外に出そう」というと、ベテラン社員ほど抵抗します。彼らの言い分は「自分にしかこの仕事はできません」です。果たして本当でしょうか? この言い分を鵜呑みにしていると、人は増えるばかりです。
こういった組織こそ「業務棚卸」をおすすめします。手順は以下の通りです。
<業務棚卸の手順>
その① 業務をすべて書き出す
ポストイットに自分が行っているすべての仕事を書き出す。
その② 業務をABC分類する
ポストイットに書き出した業務をA.B.Cに分類する。
A:自分にしかできない専門業務
B:選択肢があれば素人でもできるマニュアル仕事(マニュアルがなければ作る)
C:素人でもできる雑務(外注化ORアルバイト化する)
こう仕訳していくと、面白いことにどの職種でもおよそAが1割、B+Cが9割となります。つまり、9割の仕事はマニュアルさえあれば誰でもできるのです。こうしてBの仕事はマニュアルを作り、Cの仕事はアルバイトさんもしくは外注さんに任せます。
これにより、社員のスキルをAの重要な専門業務に集中でき、少ない人員で高いパフォーマンスを出すことができます。
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株式会社プレジデンツビジョン 代表取締役
1973年、愛知県名古屋市生まれ。
コーヒー卸商「石原珈琲商会」の三男として育つ。幼少の頃から父の配達についていき、「明日の売上がなかったら、お前の目の前のごはんは食べられないんだぞ」と言葉をかけられていたのが、商売の原点。上智大学経済学部経営学科卒業後、大手石油元売に入社。日本一ガソリン代が安い激戦区に担当営業として赴任。赤字となってしまった大手特約店にて、2年間で3億円のV字回復を実現したことが評価され、31歳で社長賞を受賞。34歳で独立起業後は、現場で培った経営ノウハウにファイナンシャルプランナー資格(1級FP技能士)、MBA修得で得た知見も併せ、成果にコミットするV字回復メソッドを体系化。「売上に偶然はあるが、利益に偶然はない」という理念のもと、社外にいるものの、社長の傍らに寄り添う「社外参謀」としてクライアントのビジョン実現へ邁進している。直近では「父が子に伝える13歳からのお金に一生困らないたった3つの考え方」を上梓し、お金と賢く付き合うやり方と考え方をわかりやすく伝える活動も行っている。
【公式サイト】
株式会社プレジデンツビジョン:https://presidents-vision.com/
ジャパンコンサルティングファーム株式会社:http://www.japan-cf.com/
【資格等】
・1級FP技能士
・ビジネス・ブレークスルー大学大学院MBA(経営管理修士・専門職)
【主催する団体】
・ジャパンコンサルティングファーム(株) 代表取締役会長
・五つ星★メンバーシップ 主宰
【著書】
『社長!お金は「ここだけ」押さえれば会社は潰れない〜2枚のシートで利益とキャッシュを確実に残す!(ダイヤモンド社)』
『父が子に伝える13歳からのお金に一生困らないたった3つの考え方(三笠書房)』
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