G20、OECDが超富裕層への取り締まりを強化しつつあります。その強化の中心は相続税とそれに関連する租税回避です。相続税がある国とない国があり、また相続税の課税方法は国によってバラバラであることから、超富裕層への課税をどうするかが、大きな課題となっています。本連載では、富裕層の相続問題の諸課題について解説します。
2024年7月にブラジルで開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議が閉幕しました。3会合ぶりに共同声明を採択し、超富裕層への累進課税を進めることで一致しました。巨大IT企業の課税逃れを防ぐ「デジタル課税」の創設や、超富裕層への課税強化をうたっています。
OECDにおいても、超富裕層の課税問題が取り上げられています。超富裕層の税務の中心は相続税問題とこれに関連する租税回避です。
その原因の1つは、世界の約半分の国に相続税がないことです。たとえば香港やシンガポールに移住して相続税を逃れようと考えます。
また相続税がある国であっても内容が異なります。OECDは税務分野について大手IT企業等の国際課税と富裕層の税務に焦点を当てて活動をしています。
超富裕層への課税強化は喫緊の課題となっています。
国際課税研究所首席研究員 博士(会計学)。
中央大学大学院商学研究科修士課程修了。昭和50年東京国税局に勤務、平成2年退職。産能短期大学助教授、日本大学商学部助教授、教授を経て平成14年中央大学商学部教授(平成30年退職)。税務大学校講師、専修大学商学研究科非常勤講師、慶應義塾大学法学研究科非常勤講師、新潟産業大学経済学部非常勤講師、武蔵大学経済学部非常勤講師を歴任。
著書に『国際課税と租税条約』(ぎょうせい、第1回租税資料館賞受賞)、『租税条約の論点』(中央経済社、第26回日本公認会計士協会学術賞)、『移転価格税制の理論』(中央経済社) 、『詳解日米租税条約』(中央経済社)など。
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連載税務当局が監視する、超富裕層の国際相続をふかぼりする