自己所有より支出が高い〈賃貸〉か、銀行に“420回”決まった金額を払う〈持ち家〉か…損得勘定で考えるより「大切にすべきこと」

自己所有より支出が高い〈賃貸〉か、銀行に“420回”決まった金額を払う〈持ち家〉か…損得勘定で考えるより「大切にすべきこと」
(※写真はイメージです/PIXTA)

人生のなかでも大きな買い物となるマイホーム。大切な自分の住まいを正しく選択するために欠かせない知識を身に着けたうえで、取引をすることが重要です。千日太郎氏の著書『マンガでわかる 不動産屋が絶対に教えてくれない「最高の家」の買い方』(扶桑社)より、詳しく見ていきましょう。

持ち家に住むメリット・デメリット

持ち家に住むということは、自分の貸借対照表を持つということです。「負債(=住宅ローン)」を自分で銀行に返済していきます。

 

それは、自分が大家さんになることではありません。大家さんは銀行への返済プラスαを借主から家賃として請求していますが、住宅ローンの支払いは、家賃ではなく自分の収入から支払うものです。

 

たとえ、この貸借対照表が債務超過になったとしても、毎月の住宅ローンを払える収入さえあれば、そのまま住み続けることができます。企業のように倒産することはありませんので、ご安心ください

 

貸借対照表の意味が出てくるのは、住むことを前提にしていない状況になったときです。今住んでいる家を売って、新しい家に住み替えをするときや、住宅ローンの返済ができなくなったため、家を手放すときになります。

 

メリットとしては、賃貸物件に住むより安い支出で済むことです。賃貸物件は銀行への返済プラスαを大家さんに支払わねばなりませんが、持ち家なら純粋に銀行への返済だけでいいからです。

 

デメリットとしては、住宅ローンの債務を負い、不動産所有にともなう責任を負うことです。何らかの理由で購入した家が嫌になったとしても、簡単にその家から離れることはできません。

 

出所:
[図表3]持ち家に住む=私の貸借対照表がベース 出所:『マンガでわかる 不動産屋が絶対に教えてくれない「最高の家」の買い方』(扶桑社)より抜粋

結局どちらが得?という考えはナンセンス

住宅ローンで家を購入することの定義を聞かれたとき、私は「35年ローンならば、420回、銀行に決まった金額を払うこと」と答えるようにしています。もちろん、これが正確ではないことは十分承知のうえですが、誰にでも当てはまる本質と言えます。

 

毎月決まった日までに、トータル420回もお金を振り込むと考えると、気の遠くなるような話です。要は、住宅ローンで家を購入するということは、自分と家族の人生と生活を守るための「貯金」という資産と、その源泉になる「収入」に対して、妥協のない意思決定が求められるということです。

 

仕事をして収入が得られる現役世代だけでなく、リタイア後も生きていく限りはどこかに住まないといけません。住宅ローンという420回のミッションをしっかりと達成し、老後も生活し続けられるよう、妥協のない資金計画を練らねばなりません。建物の老化に伴う修繕やリフォームなどが必要になる可能性も高いですから。

 

もちろん賃貸物件に住む際にも、家賃を払い続けなければなりません。持ち家であろうが賃貸物件であろうが、将来にわたり、お金は必要だということです。つまり、「賃貸が得? 持ち家が得?」という損得勘定で考えることはナンセンスなのです。本当に大切なことにフォーカスすれば、どちらが得かという問いは、それほど重要ではないのです。

 

出所:
[図表4]持ち家でも賃貸でも、将来にわたってお金は必要 出所:『マンガでわかる 不動産屋が絶対に教えてくれない「最高の家」の買い方』(扶桑社)より抜粋

 

 

千日 太郎

オフィス千日(同)代表社員

公認会計士

※本連載は千日太郎氏の著書『マンガでわかる 不動産屋が絶対に教えてくれない「最高の家」の買い方』(扶桑社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

マンガでわかる 不動産屋が絶対に教えてくれない「最高の家の買い方」

マンガでわかる 不動産屋が絶対に教えてくれない「最高の家の買い方」

千日 太郎

扶桑社

マイホームを購入するための住宅ローンは、年収の何倍もの金額であり、返済期間は生きてきた期間かそれを超える期間にわたる契約です。 いままで経験したことのある大きな買い物のノウハウは、ここではほとんど役に立ちません…

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