不動産会社の営業マンはあくまでも「取引相手」
マイホーム購入は“人生最大の取引”と言っても過言ではありません。何軒もの不動産投資をしている人以外は、物件購入をする機会は人生に一度きりの人がほとんどでしょう。
誰もが物件を買った経験がない状態で、私たちが物件を買う相手は、不動産会社の営業マンという百戦錬磨のプロ。私たちは初心者ですから、さまざまな物件情報を持ち、何軒もの購入事例を見てきた営業マンを頼るのは当然のことです。
しかし、ここでいま一度認識しておきたいのは「不動産会社の営業マンは私たちの味方ではない」ということ。とはいえ、敵でもなく、「取引相手」だということを、しっかりと心に留めておきましょう。
私たちが購入したい家は、自分と家族の人生を豊かに送っていくための大切なものですが、営業マンは家を売るまでが仕事です。家を購入したい私たちと、家を売りたい営業マンの需要と供給が一致しなければ、取引はすべきではないのです。当然のことだと思われるかもしれませんが、いざ自分が物件を買う当事者になると、このことを忘れてしまいがちです。
話が進んでいても、少しでも「何かおかしいな」「良くない方向に進んでいるな」と引っかかりを感じたら、一度立ち止まりましょう。そして、いくら「これだけ時間をかけたのに…」と思っても、今後の取引を中断する勇気を持つことも大切なことです。
不動産に掘り出し物はない
マイホームの購入はよく「人生最大の買い物」と表現されますが、「買い物」という表現は、私たちの感覚をおかしくしてしまいます。物置やキャンプ用品を買うのとは次元が違うわけですから、家の購入に従来の買い物の基準を当てはめてはいけません。マイホーム購入は「人生のプロジェクト」と考えましょう。
ただ、不動産会社からすれば、家は「売り物」です。お金さえ払えば買えるものですし、買う人が「お客」になります。営業マンは「売りたい家」をプレゼンし、「お買い得」「掘り出し物」という耳ざわりの良い言葉を使って、さまざまな物件情報を提示してくるでしょう。
そうするうちに、私たちは少しでもお得で、少しでも条件が良い物件が欲しくなり、損得勘定に支配されてしまいます。営業マンに「早い者勝ちのお買い得物件が出ましたよ」と言われたら、飛びついてしまう。迷っている間に売れてしまうと、「先を越された!」と焦る。営業マンの言う通りにしなかったから、お買い得物件を逃してしまった…と悔しくなります。
だからこそ、ほどなくして「また掘り出し物が出ましたよ」と言われたら、その物件の良し悪しを冷静に見極められず、急いで契約してしまうことも多々あるのです。
不動産に「掘り出し物」などありません。すべて価格に反映されています。損得勘定に左右されることなく、冷静になることが重要なのです。