前週の米ドル/円の振り返り
為替市場では、前週末のジャクソンホール会議で、パウエルFRB議⻑が9⽉の利下げ開始を⽰唆したことを受け、⽇⽶⾦利差の縮⼩を意識した円買い⽶ドル売りと、国内輸⼊業者など実需の円売り⽶ドル買いが綱引きする展開となり、週を通じて1⽶ドル=144円前後を中⼼とした動きとなりました。30⽇には、1⽶ドル=144.80円と、23⽇(146.27円)に⽐べ円⾼⽶ドル安となりました(図表1)。
7⽉の毎⽉勤労統計や8⽉の⽶雇⽤統計などに注⽬
来週は、7⽉の毎⽉勤労統計や8⽉の⽶雇⽤統計などに注⽬しています(図表2)。
前回6⽉の毎⽉勤労統計(確報)では、実質賃⾦が前年⽐+1.1%(5⽉︓同▲1.3%)と2022年3⽉以来、27ヵ⽉ぶりにプラスに転換しました(図表3)。
企業業績の拡⼤により、ボーナス(名⽬賃⾦)が急増したことが背景にあります。
もっとも、夏のボーナスは、6~7⽉に⽀給されることがほとんどであるものの、前年との⽀給時期のズレにより、6~7⽉の結果は⼤きく振れることがあります。6⽉にボーナスを⽀給した事業所が昨年に⽐べ多く、名⽬賃⾦は6⽉に上振れた可能性があります。
7⽉も実質賃⾦がプラスとなるかは、ボーナスの結果次第であるものの、8⽉以降は春闘賃上げを映じて、所定内給与(名⽬賃⾦)の伸びが⾼まることが⾒込まれることから、実質賃⾦は緩やかながらもプラスに転じることが予想されます。
所定内給与の推移をみると、本系列と事業所ともに⾼い伸びを維持しています(図表4)。
春闘でのベースアップが3.56%(連合が公表した春闘最終回答集計結果)であることを踏まえると、所定内給与は3%程度に伸びを⾼めることが予想されます。
なお、春闘の賃上げが賃⾦に反映される割合は昨年の春闘を例に挙げると、6⽉15⽇時点で6割程度、7⽉以降は8割以上反映されていく形となっています。前回7⽉の雇⽤統計では、⾮農業部⾨雇⽤者数が前⽉差+11.4万⼈と、6⽉の同+17.9万⼈から雇⽤増加ペースが⼤幅に鈍化したことに加え、7⽉の失業率がサーム・ルールに抵触したことから、景気後退への懸念が急速に⾼まりました(図表5)。
同ルールを提唱した元FRBエコノミストのクラウディア・サーム⽒は、7⽉の雇⽤統計で失業率が予想外に上昇したことについて「失業率のこうした上昇は、過去においては景気後退の初期と整合的だった」、「その状況にはないかもしれないが、その状況に不快なほど近づきつつある」としたうえで、「今や⽶⾦融当局が⾦利を引き下げるべき時だ」と述べています。
事前の予想では、8⽉の失業率は4.2%と、7⽉(4.3%)から低下することが⾒込まれています。
この場合、サーム・ルールに基づく数値は0.6%と7⽉に続き、景気後退のサインが点灯することになります。7⽉の失業率がサーム・ルールに抵触した際と同様、景気後退観測とともに、⾦融市場の波乱要因となるのか注⽬されます。
東京海上アセットマネジメント
※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが注目…9月第1週の為替相場にインパクトを与える「重要な経済指標」』を参照)。
※本記事は東京海上アセットマネジメントの「TMAMマーケットウィークリー」の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。
※全文は「TMAMマーケットウィークリー」をご確認ください。
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