前回は、長期の運用に耐え得る「守りに強いポートフォリオ」について解説しました。今回は、長期保有を前提とした資産の「メンテナンス」方法を見ていきます。

不動産は価格の変動よりも、定期収入の有無をチェック

前回の続きです。次に、やはり実物資産である不動産も、長期でのんびりと賃貸収入を受け取りながら、ただ持ち続けていればOKです。もちろん、その時々の景気変動によって、不動産の価値は上がったり下がったりするでしょう。ただし、不動産に関しても、そもそも物件の売買で儲けようと考えているわけではありません。

 

原則として、有事のリスクヘッジと賃貸収入のために所有しているわけですから、「値上がりしたら売ったほうがいいのだろうか?」などと、いちいち慌てるべきではないのです。毎月問題なく収益を生んでいるかどうかを、定期的にチェックしておきさえすれば、それでもう十分です。

 

ただし、老朽化によって、賃貸料は徐々に下がっていきます。また、いくら優秀な賃貸管理会社に委託しても、多少の空室リスクは避けられません。大切なのは、リスクをあらかじめ織り込んだ上で、物件を購入することです。

 

計画性のある不動産投資を行っておけば、物件の老朽化に頭を悩ませる必要もないのです。

「結果がすべて」といえるヘッジファンド

ヘッジファンドのマネージド・フューチャーズも、やはり長期保有が基本です。わざわざ面倒な手続きを経て契約するのですから、しょっちゅう売り買いするようでは割に合いません。コストもムダに支払うことになってしまいます。したがって、一度持ったら長く持つつもりで、銘柄は慎重に選ぶべきでしょう。

 

では、何を選べばいいのか――という話になるわけですが、まずヘッジファンドにとって一番重要なのは信用リスクです。海外にはたくさんのヘッジファンドがありますが、毎年のようにそのうちの何パーセントかが「精算」(ファンドの解散)を余儀なくされています。小規模なファンドほど、その傾向が強いといえるでしょう。

 

このような観点から、まずはファンドの規模、キャリア、過去の運用実績などを重点的に確認する必要があるわけです。マネージド・フューチャーズにはBIG4といわれる大手4銘柄がありますが、まずはこの4銘柄の中から選ぶといいでしょう。

 

しかしながら、たとえこのような大手のヘッジファンドでも、時代とともに運用手法が劣化し、その結果、運用成績が徐々に悪くなっていく場合もあります。マネージド・フューチャーズの場合、100%プログラム売買になっていますが、市場で発生するトレンドは、まるで生き物のように刻々と変化します。当然のことながらファンド側も市場に合わせてうまくプログラムをチューニングしていかないと、安定した収益をあげることはできません。

 

プログラムの劣化を見極めるのは難しいですが、ヘッジファンドは結果がすべてです。マンスリー・レポートなどを時々チェックして、傾向的に成績がダウンしていないかどうか、確認したほうがよいでしょう。あまりにも成績不振が続くようなら、ほかのヘッジファンドの成績も見比べてみてください。

 

ほかのヘッジファンドが好調で、自分の保有しているヘッジファンドだけが失速している場合は、明らかに問題を抱えている証拠です。そのようなときは、銘柄の組み替えも選択肢に入れるべきです。

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    本連載は、2013年12月19日刊行の書籍『日本が財政破綻しても資産を奪われない10の投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    田中 徹郎

    幻冬舎メディアコンサルティング

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