税務調査官「もうわかりました、これで結構です」…時価1億円の土地を相続→9,000万円と申告した59歳サラリーマンが〈追徴課税〉を逃れた驚きの理由【税理士の助言】

税務調査官「もうわかりました、これで結構です」…時価1億円の土地を相続→9,000万円と申告した59歳サラリーマンが〈追徴課税〉を逃れた驚きの理由【税理士の助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

時価1億円の土地を相続した年収800万円のサラリーマンAさんは、税理士の助言で土地の評価額を1,000万円少なく申告したところ、税務調査の対象となってしまいます。しかし、税務調査官たちは“あること”を理由に追徴税を課すことなく帰っていったのでした……。いったいなにがあったのか、詳しくみていきましょう。多賀谷会計事務所の宮路幸人税理士が、事例を交えて「相続税評価額を減らす方法」を解説します。

「利用価値が著しく低下している土地」はどんな土地?

国税庁では課税実務上、利用価値の著しい低下が生じる例を次のとおり示しています。

 

①道路より高い位置にある宅地または低い位置にある宅地で、その付近にある宅地に比べて著しく高低差のあるもの。

 

②地盤に甚だしい凹凸のある宅地。

 

③震動の甚だしい宅地。

 

④①~③までの宅地以外の宅地で、騒音、日照阻害(建築基準法第56条の2に定める日影時間を超える時間の日照阻害のあるものとします)、臭気、忌み等により、その取引金額に影響を受けると認められるもの。

 

ただし、上記①~④の例について、すでに路線価が利用価値の著しく低下している状況を考慮して付されている場合には、10%評価減は適用されません。

 

また、過去の裁決事例では、新幹線の高架線の敷地に隣接し、かつ、元墓地である土地の評価で、振動及び騒音、忌み、日照および眺望への各影響を考慮して合計30%の評価減が認められたケ-スも存在します。

 

今回Aさんは、上記④の規定を適用し、申告することにしました。

 

ただし、減額要素があったからといって必ず認められるわけではなく、税務調査の際は重点的にチェックされ、認められなかったケースも多くあります。そのため取引価格の根拠などの問い合わせがあったときには、きちんと答えられるようにしておきましょう。

 

相続を受けた土地のなかには、明確な土地の評価減の規定の適用が受けられない場合でも、「利用価値が著しく低下している土地の評価」の規定の適用を受けることで、一定の評価減を受けることができる場合があります。

 

そのような土地を相続した際には、規定が適用されるかどうか、検討されてみてはいかがでしょうか。

 

 

宮路 幸人

多賀谷会計事務所

税理士/CFP

 

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