実は、密かに「天下り禁止」を計画していた第一次安倍政権
じつは第一次安倍政権で官僚の天下りを禁止しようという計画があった。
しかし、そこで行なわれたのは、天下りの斡旋の禁止である。天下りそのものを禁止することはできなかった。当時、改革の現場にいた高橋洋一嘉悦大教授に聞いたところ、憲法が規定する職業選択の自由に抵触するので、天下りの禁止にまでは踏み込めなかったという。
しかし、安倍政権は集団的自衛権の行使を解釈改憲で可能にした。岸田政権は、敵基地攻撃能力の保有を解禁した。いずれもふつうに憲法を読めば、どう考えても「9条」に違反する行動だ。それが許されるのであれば、財務官僚の天下りを禁止するなど、たいした問題ではない。財務省のキャリア官僚の数はせいぜい数百人にすぎないからだ。
そして、どうしても職業選択の自由にこだわるのであれば、財務官僚に限って、生涯の雇用保証を与えてもよいだろう。少々の人件費負担は生ずるが、彼らが日本経済を破壊している被害額とくらべれば、その負担など微々たるものだからだ。
森永 卓郎
経済アナリスト
獨協大学経済学部 教授
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