「後生だから…」結婚前の将来の義母がわざわざ家までやってきて…会社員男性へ涙ながらに訴えた“驚愕のお願いごと”に「とても逆らえない」【中央大学教授が解説】

「後生だから…」結婚前の将来の義母がわざわざ家までやってきて…会社員男性へ涙ながらに訴えた“驚愕のお願いごと”に「とても逆らえない」【中央大学教授が解説】

成人後も親が子へ過干渉になる・子が親へ依存してしまうなどの「いびつな親子関係」が、近年の結婚観にも影響を与えているようです。本記事では、社会学者で中央大学文学部教授の山田昌弘氏の著書『パラサイト難婚社会』(朝日新聞出版)から、現代日本の親子関係と、結婚を巡る問題点について解説します。

「個人化」で錯綜する家族のカタチ

「愛情の分散」は、選択肢が増えた現代だからこそ可能です。「個人化の時代」では、個々人が多様な選択肢を持つことで自由を手に入れた反面、悩みやリスクもあらゆる局面で遭遇するようになりました。

 

「結婚」や「離婚」の主役は、夫婦二人の当事者ばかりではありません。それぞれの両親も、それぞれの価値観に応じた「選択肢」を提示し始めています。

 

晩婚化が進んだ現代、パラサイト・シングルとして実家に長く住む若者も増えました。

 

いざ結婚して別世帯を持ったとしても、それまで子の生活に密接に関与してきた親が一気に口を出さなくなるとは考えにくく、かつ子の方でも親に依存度を高めた結果、結婚後も親の意見を真っ先に聞くような人が増えています。

 

核家族化、共働き世帯や高齢出産の増加で、子育てや教育の手間暇の負担も、夫婦に重くのしかかっています。

 

長時間労働の夫は頼りにならず、祖父母に助けを請わないと日常がままならない実情もあります。多くの家庭で三世代同居が解消された結果、祖父母が子の家庭に呼び出され、子守や習い事の送迎に駆り出されている光景も見られます。

 

自分の母親の近くに住みたがる妻

その結果、近年増えているのが、「妻が自分の母親の近くに住みたがる」現象です。

 

かつてのイエ制度が根強かった昭和時代までは、「両親と同居」と言えば、それは「夫の両親との同居」を意味しました。

 

結婚して夫の名字になった以上は、妻は「嫁」という立場で夫の両親のイエに入り、自らの子育てに義理の両親が協力してくれる代わりに、日々の家事や老後の介護は嫁が担うという暗黙の了解があったのです。

 

ところが「自由」の意識が育まれた平成・令和の若者は、夫の両親との同居を望まない代わりに、気心の知れた妻の実母との同居ないし手助けを求めるケースが増えました。

 

離婚した女性のおよそ半数は、実家に戻ることも調査で明らかになっています。精神的に頼りにならない(会話ができない)夫よりも、長年一緒にいた母親の方が頼みになるということです。

 

そうなると、どのような変化が生じるか。別世帯となったはずの夫婦もしくは家族の在り方に、妻の親の欲望ないし意思が影響を及ぼすようになります。つまり、娘の家庭の在り方に親の価値観や意見が反映されるようになり、それがさらに夫との諍いにつながるケースも。

 

あるいはこんな声も堂々と聞かれるようになりました。「私(親)の面倒は、実の娘に見てほしい」「私(子)の面倒は、実の母に見てほしい」

 

こうした意見が新聞の相談欄に寄せられるのを見るにつけ、まさしく「個人化の時代」を実感します。同時にこれは、「パラサイト・シングル」時代の当然の帰結でもある、と。

 

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※本連載は、山田昌弘氏の著書『パラサイト難婚社会』(朝日新書)を一部抜粋し、再編集したものです。

パラサイト難婚社会

パラサイト難婚社会

山田 昌弘

朝日新書

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