(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢化を理由に飲食店が閉店してしまうケースが相次いでいます。子どもがいても後を継がない選択がされる時代です。そのようななかで、その土地、人々に慣れ親しんだ飲食店がなくならないように、常連客が後を継ぐ場合もあります。そこで、ココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、飲食店の第三者への事業承継について、松尾裕介弁護士が詳しく解説します。

事業承継にかかる契約書の締結

事業承継を実施するうえで必要な手続き・工程は複雑なため、契約書に定めて合意しておくことで、可能な限り事業承継後の不測のトラブルや紛争を回避することができます。
 

 

具体的には、事業承継にかかる契約書において、事業承継の方法(一般には、株式譲渡、事業譲渡など)を定めます。たとえば、譲渡の対象となる事業や財産、譲渡の時期、譲渡の対価、支払時期・方法、経営者や従業員の処遇、表明保証条項、クロージングの前提条件、競業避止義務、契約の解除事由、補償の内容などの条項について合意し、契約を締結します。

 

譲渡側および譲受側双方が納得した形で事業承継を成功するために、各局面で細心の注意を払う必要があり、また、契約書の作成は非常に専門性が高い事項であり、弁護士など法律の専門家のサポートのもと、慎重な対応が求められます。

 

なお、最終的な契約締結前に、主に譲受側がデュー・ディリジェンス(DD)を行い、譲渡側の財務・法務・税務等の実態について弁護士や税理士などの専門家を活用して調査し、デュー・ディリジェンス(DD)において洗い出された問題点を契約書に反映させたり、譲渡対価に反映させるといったこともあります。

飲食店の事業承継は国による支援も

このように、事業承継には、さまざまな検討すべき事項があります。しかし一方で、飲食店の後継者不在問題の解決の観点からも、国は事業承継税制や経営承継円滑化法の改正、食品衛生法の改正により飲食店営業許可の地位承継も可能にする、事業承継補助金を設けるなど、事業承継を積極的に行うようさまざまな対策や支援を行っています。

 

長年愛されてきた飲食店の味や伝統が次の世代に引き継がれ、地域の人々にとっての大切な場所として残り続けることは非常に喜ばしいことであり、少しでもそのようなケースが増えることを願って止みません。

 

事業承継を検討される際には、まずは、弁護士など法律の専門家や事業承継(M&A)サポート機関などに気軽にご相談ください。
 

 

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