順風満帆だったはずが…孫が取り乱していたワケ
Aさん「それで、いったい何があったんだい?」
Dさん「みてよこれ……」
そこには、税務署から届いた1通の封筒が置かれていました。
Dさん「入学祝いでもらったあの1,500万円の贈与税を払わないといけないんだって……200万円なんて急に払えないよ!」
なんと、大学生のDさんは教育資金として贈与を受けた1,500万円のうち、約1,000万円を車や旅行に使ってしまっていたというのです。このため、教育資金として使ったと認められないものについては、贈与税が課税されることに。
Aさん「なんてバカなことを……あぁ、こんなことになるなら入学祝いなんてあげなければよかった」
悔やんでも悔やみきれないA夫妻。今後は孫の給料から月々返済するという条件で、納税費用を肩代わりしたのでした。
「教育資金の一括贈与の特例」のメリット・デメリット
ではここで、「教育資金の一括贈与の特例」のメリットとデメリットを確認してみましょう。
メリット
①最大1,500万円までの生前贈与が非課税になる
贈与したお金の使途は限定されるものの、1,500万円までは贈与税がかかりません。このため子供や孫の学費を払いたい、学習塾代などの負担を軽くしたいと考えている場合は良いでしょう。
②暦年贈与と併用できる
「教育資金の一括贈与の特例」と「暦年贈与」は、併用が可能です。教育資金の一括贈与の特例を使っていたとしても贈与税の基礎控除額110万円は適用されるため、節税効果を高めることができます。
デメリット
①使い切れなかった分の贈与資金は相続財産に加算される
贈与者が途中で死亡するなどして使い切れていない部分は、原則として相続税の課税対象財産として扱われます。
②扶養者からの教育費・生活費はそもそも非課税となっている
両親や祖父母といった扶養義務者からの教育費や生活費の贈与はそもそも非課税であり、贈与税がかかりません。そのため入学金や授業料を支払う際、都度贈与をする形でも問題はありません。
③手続きが煩雑で大変である
税法改正等により所得制限などの要件も年々厳しくなり、また制度を取り扱っている銀行や金融機関から預金を引き出すときは金融機関に領収書等を提出しなけらばなりません。この手続き等が煩雑で、さらに教育資金であるかどうかの基準も厳しくなっています。
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