時間あたり実質賃金上昇率
ここまで、1人あたりの賃金や生産性を見てきたが、労働時間を加味した時間あたりの実質賃金を確認すると(図表1下段、図表3)、時間あたり実質賃金は、1人あたりの実質賃金と比較して全体的にやや押し上げられている。これは、今回の分析対象国に共通して労働時間の減少が見られるためである。
なかでも日本の労働時間の低下幅は大きく、その結果、時間当たり実質賃金が25年で9.8%増加しているにもかかわらず、一人当たり実質賃金は2.0%減少している。日本では、同じ年齢層でみた1人あたりの労働時間が全体的に減っているほか、少子高齢化によって相対的に労働時間の長い男性中核層(25-64才)の労働者が減少し、労働時間の短い高齢の労働者が増えていることが就業者の合計労働時間(延労働時間)を押し下げる要因となっている。日本では、女性や高齢者の労働参加率が上昇し、就業者数の押し上げ要因になってきたため、就業者全体でみると、女性や高齢者の労働参加率上昇は合計労働時間の押し上げ要因にもなるが、全体で見た延労働時間は押し下げ圧力の方が強く、減少傾向にある(図表4)。
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