(※写真はイメージです/PIXTA)

最愛の伴侶を失うことによるダメージは、思っているよりも非常に根深いものです。さらに、そのような人たちの悲しみに、日本の年金制度が追い打ちをかけているという声も。一体なにが問題なのでしょうか? 本記事では、Aさんの事例とともに遺族年金の仕組みとその対策方法について、合同会社エミタメの代表を務めるFPの三原由紀氏が解説します。

共働き夫婦は「妻亡きあと」も対策を

2024年7月3日に5年に一度の公的年金制度の財政検証結果が公表されました。前述の遺族厚生年金の男女差については見直しの方向で進んでいます。ただし、現行の制度の仕組みは次期改正が施行されるまで続きます。

 

今回のAさんのケースを踏まえて、共働き夫婦において、妻が万が一死亡したときのリスク対策をしておく必要は明らかです。具体的には妻死亡時の収入喪失に対して、死亡保障を定期保険などの加入で対応するのです。

 

なお、今回のAさんのケースでいうならば、経済的リスク以上に精神的ダメージが深刻です。「痩せなきゃいけないのはわかっている、でも、必要以上に食べて、飲んでしまう、勤務先でも痩せるようにいわれてるのに……。こんな歳になっても自分を律せないなんて。ああ、あの頃に戻れたら……」と生来の生真面目さや自分に厳しい性格が仇となっているようです。

 

大きな喪失体験に伴う深い悲しみや空虚感などさまざまな感情は人間にとって自然な反応です。特にAさんは、妻の体調の変化にもっと早く気づいてあげていたらと自責の念が強いようです。Aさんのように悲しみが強すぎて日常生活に支障が出ている場合は専門家のサポートを検討すべきでしょう。

 

グリーフケアという言葉を聞いたことはあるでしょうか。グリーフとは日本語で「悲嘆」を意味します。グリーフケアは遺族ケアともいえます。診療科でいえば、精神科で遺族ケア、家族ケアなどと掲げているのが目安になります。死別から立ち直りまでの期間は人それぞれです。Aさんの心身が健やかになることを願ってやみません。

 

 

三原 由紀

合同会社エミタメ

代表

 

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