(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍を機に地方移住への関心は高まりました。しかし、実際に移住してみると、理想とのギャップに悩む人も少なくないようです。本記事では、阿部さん(仮名)の事例とともに、地方移住の理想と現実についてFP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。

涼しい地方でのんびり老後を

阿部新一さん(仮名/62歳)は都内で医師として長年働いてきました。趣味は畑です。家庭菜園だけでは物足りなくなり、自宅から車で30分ほどのところにある畑を借りて、休みになると畑の世話をします。当時、医師としての仕事が忙しかったため、日ごろの管理は妻である早紀さん(仮名)が行っていました。

 

「近ごろの夏は暑すぎる。どこへ行っても人だらけ。物価は高いし……。東京はもうこりごりだよ」そんな想いを抱えていたタイミングに、ネットニュースで半農半医として地方で暮らす人がいることを知ります。「自分もこうなりたい」と考えた阿部さんは、地方移住を実現しようと考え始めます。

 

医師としてのキャリアは充実していましたが、第一線を退いてもっと静かで穏やかな環境で過ごす方法を模索していた矢先、地方で個人医をしている知人が高齢で引退を考えていることを耳にします。こんなチャンスはまたとないと、阿部さんは医院を買い取って地方に移住することにしたのでした。

 

子供が独立したのを機に当時の医局を辞め、早紀さんと移住し、新たな生活をスタートさせました。

 

現役のころから蓄えてきた資産と、退職金の合計で8,000万円ほどありましたが、資産はほぼすべて使って地方の小さなクリニックとログハウス風の家を買い、そして耕作放棄地になっていた田んぼを譲り受け、兼業農家となったのでした。

 

そのときは大病院の第一線を退き、田舎の小さなクリニックでそこそこ収入も得ながらのんびりとやっていこうと考えていました。

 

新しい先生が来てくれたことに地域の人達は喜び、小さな田舎町で唯一の医院に来てくれた阿部さんを歓迎してくれました。こうして新しい生活がスタートし、出だしはよかったのですが、阿部さんは地方の町医者と農家を兼業することの大変さを後に思い知ることになりました。

 

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