SNSは「自称・専門家」の巣窟だった!?
近年、これらの手法が、SNS時代の到来によって息を吹き返しているようです。SNSは、システムの特性上(アルゴリズムにより)「大衆が興味を持つ投稿」が拡散しやすくなっています。これは搾取目的のビジネスにとって、とても相性がよいです。
さらにSNSは、フォロワー数や投稿表示数、閲覧数、登録者数、再生数といった指標が備わっているものがほとんどです。これは「権威性」を演出するのに都合がいいのです。
もっと言えば、現実的な「専門性」や「資格」とは無関係に、権威性を得ることができます。雪だるま式に影響力を拡大することも容易です。
SNSの時代は、誰でも発信者になれますが、肩書や経歴はもちろん、専門家と言っても自称にすぎません。テレビ、新聞、雑誌、書籍など、従来からあるマスメディアは、一定程度マスメディア企業が発信者の信頼性を担保していました。インターネットの登場により、このような第三者によって担保されない専門家があふれてしまったのです。
さらに、インターネットによる一方通行の発信だった時代の情報商材と違って、オンライン上である程度、セミナー商法のような囲い込みがおこなえます。SNSの媒体も豊富なため、商材の特性やターゲットの「囲い込み具合」に応じて、SNS媒体を使い分けて管理することもできます。
2023年10月に、景品表示法の類型に「ステルスマーケティング規制」が追加され、ある程度SNSなどの「影響力に対する規制」が始まりました。とはいえ、情報商材やセミナー商法に対する特定商取引法のように、まだまだSNSによる搾取ビジネスへの規制は及んでいません。まずはこれらの構造とハマってしまう原因を、知っていただければと思います。
服部真和
行政書士