「ヒヨコ狩り」「二次被害」が生まれるセミナー
こういったビジネスは「情報商材」と呼ばれることもあります。古くは、スポーツ新聞や雑誌の広告欄に掲載されていた、競馬予想やパチンコなどの「必勝法」を扱った伝統的手法です。やがてインターネット普及後に、ネット広告やネットオークションなどで販売されるようになりました。
その多くは「ギャンブル」「投資」「ネットビジネス」「自己啓発」「人間関係」に関するものが中心です。情報商材が搾取ビジネスに活用されやすい理由は「コストが安い」「身元を明かさなくてよい」「あおりやすい」などがあげられます。
当時の情報商材は、過剰に期待感をあおって、実際の商品はPDF形式のデータだけということがありました。テキストデータを送るだけで完結するので、内容もその辺の情報の寄せ集めであることがほとんどでした。やがて、こうした情報商材は「胡散臭い」という認識が広がったため、新たに広がったのが「セミナー商法」です。
これは情報商材とは異なり、コストのかからないテキストデータではなく、対面により提供側の身元も明かすため(一応は)信頼してしまいます。しかし、根本的なビジネスモデルは同じで「お金」「健康」「人間関係」という人間の不安や悩みTOP3につけ込んだものです。その上で「権威性を出す」「高価に思わせる」を駆使して搾取を試みます。
セミナー商法は情報商材と違い、購入者にとっても一定の満足感(体験ができる)がありますし、提供者の素性がハッキリしています。また、セミナー商法では、一定の業界に特化したものもあり、新規参入者の知識不足につけ込んで、ニワカな権威性と高額講座の組み合わせを駆使する「ヒヨコ狩り」と呼ばれる形態もあります。
ある程度、その業界に長くいれば得られる(たいしたことのない)知識やノウハウでも、新規参入者には見分けがつかないことにつけ込んで、高単価で売りつけるものです。つまり、セミナー商法は、提供者の素性もハッキリしていたり、無知につけ込むものが多いので搾取ビジネスなのか、それとも堅実ビジネスなのか線引きが難しいです。
その反面、情報商材と違って、セミナー商法では「その場の雰囲気にのまれる」「盛り上がりから判断力を失う」「ああ言えば、こう言う(応酬話法)で押し切られる」といった囲い込みによる高額商品購入の二次被害も生じます。そこで、このような情報商材やセミナー商法に対しては、特定商取引法など一定の法規制がおこなわれました。