東南アジアのハブ“シンガポール”
2000年代に本格化した海外不動産投資で、長く注目されてきたのが「東南アジア」です。しかし、投資対象として一括りにできないほど、各国の不動産投資に関する環境や規制に違いがあり、外国人による不動産の保有に規制が設けられている国も数多く存在します。これらは、その国の経済状況などによって急に変更される場合もありますので、注意が必要です。
まずは、ドバイと同じように、富裕層からの人気が高い「シンガポール」から説明しましょう。シンガポールの国土は東京23区と同じ程度ととても小さく、資源にも恵まれていません。しかし、ビジネスのしやすい環境を整え、グローバル企業からの投資を呼び込むことで、高い成長を続けてきました。
1人あたりのGDP(国内総生産)を見ると、なんと日本の倍以上。シンガポールは、経済も政治も安定している世界有数の豊かな国なのです。
製造業の拠点であり、金融センターという一面も持つシンガポールでは、賃貸需要も豊富です。さらに、国土が狭いことから不動産価格は上昇し続けており、不動産投資においてキャピタルゲイン、インカムゲインともに期待できる国だとも言えるでしょう。
ただし、これはデメリットにもなり得ます。
なぜなら、売却するときのメリットである「不動産価格が上昇し続けている」ことは、投資するとき「高い価格で購入しなくてはならない」というデメリットと背中合わせだからです。
したがって、シンガポールにおける不動産投資では、高い利回りはあまり期待できません。
また、先進国でありながら、外国人への購入規制が設けられています。
たとえば、海外投資家が購入できる物件は、「コンドミニアム」と呼ばれる高額な集合住宅に限られます。コンドミニアム以外の物件も購入することは可能ですが、法務大臣から許可を得る必要があり、ハードルはかなり高いと言えるでしょう。
さらに、急激な価格上昇を懸念して、外国人が物件を購入する際に支払う印紙税を引き上げる、などの規制も強化しています。
こういった規制強化の動きも、シンガポールでの不動産投資のハードルをさらに高くしている理由です。
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