誰が誹謗中傷をしたかわからないときは…
TikTokは匿名のユーザーも多く、自分を誹謗中傷した人が誰なのかわからないことも少なくないでしょう。相手が誰であるかわからないままでは、損賠賠償請求や刑事告訴をすることは困難です。そのため、誹謗中傷をした人がわからない場合は、多くの場合、法的措置に先立って「発信者情報開示請求」が必要となります。ここでは、発信者情報開示請求の概要について解説します。
「発信者情報開示請求」とは?
発信者情報開示請求とは、誹謗中傷などの発信者(投稿者)が誰であるのか特定するための手続きです。発信者情報開示請求は、次の2段階で行うことが基本です。
1. TikTokの運営社から、投稿などのIPアドレスとタイムスタンプなどの情報を入手する
2. 「1」で得た情報をもとに、投稿者が接続に使ったプロバイダ(KDDIやNTTなど)から契約者の住所や氏名などの情報を入手する
とはいえ、TikTokの運営社や接続プロバイダに対して任意に開示を請求しても、開示に応じてもらえる可能性はほとんどありません。そのため、発信者情報開示請求は裁判手続きによって行うことが一般的です。
裁判手続きでは、発信者による権利侵害があったかどうかが検討され、権利侵害があったと判断されれば開示命令が下ります。
なお、2022年10月にプロバイダ制限責任法の改正法が施行され、先ほど挙げた「1」と「2」を1本の手続きで行うことができる制度が創設されました。この制度を使うことで、発信者の特定にかかる時間を短縮することが可能となります。ただし、新設された制度を使うことが必ずしも最適であるとは限りません。具体的な手続きについては、弁護士へご相談ください。
発信者情報開示請求をする流れ
発信者情報開示請求をしてTikTokで誹謗中傷した人を特定したい場合は、どのような手順で進めればよいでしょうか? ここでは、発信者情報開示請求までの一般的な流れについて解説します。
投稿の証拠を残す
TikTokで誹謗中傷がなされたら、その場で誹謗中傷の証拠を残してください。証拠がなければ、発信者情報の開示を認めてもらうことはできないためです。
また、TikTokでの誹謗中傷の投稿はずっと残っているとは限らず、誹謗中傷をした人が自ら削除したり周囲から「通報」がされたりして削除される可能性もあります。そのため、誹謗中傷のコメントが消えてしまう前に、証拠を残さなければなりません。
誹謗中傷の証拠は、スクリーンショットで残すことが一般的です。スクリーンショットでは、次の内容がわかるよう漏れなく撮影してください。
・誹謗中傷の内容
・誹謗中傷のコメントなどが投稿された日時
・投稿のURL
・誹謗中傷に関連する前後のやり取りや投稿
弁護士に相談する
誹謗中傷の証拠を残したら、早期に弁護士へ相談してください。誹謗中傷への対応は、時間との勝負であるといっても過言ではありません。そのため、誹謗中傷投稿を見つけたらその日や翌日には相談予約を入れるくらいのスピード感で動くことをおすすめします。
相談時には、依頼した場合にかかる費用や全体の流れ、期間などについても確認しておくとよいでしょう。撮影したスクリーンショットを弁護士に確認してもらい、不足があれば追加で撮影します。
発信者情報開示請求をする
弁護士へ依頼したら、弁護士が発信者情報開示請求を行います。投稿者の特定には、数ヵ月(6ヵ月から9ヵ月程度)単位の期間を要することが一般的です。かかる期間の目安は事案によっても異なるため、弁護士に確認しておくとよいでしょう。いずれにしても、数週間単位で特定できるものではなく、ある程度長期戦となることは知っておいてください。
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