(※写真はイメージです/PIXTA)

2024年3月、日銀の異次元緩和が終了し17年ぶりに利上げが実施されました。そうなると気になるのが住宅ローン金利への影響。なかでも多くの人が利用する「変動金利」への影響です。すでに変動金利で住宅ローンを組んでいる人からは、「低金利の今のうちに、固定金利に借り換えたほうがいいのだろうか」という悩みも聞かれますが、実際にはどうなのでしょうか? そこで今回は、不動産コンサルティング会社〈さくら事務所〉の創業者である長嶋修氏と〈さくら事務所〉の共著『マンションバブル41の落とし穴』(小学館)から一部抜粋して、利上げに関連した変動金利・固定金利の選択について解説します。

変動金利から固定金利へ借り換えしたほうがいい?

2023年、10年ぶりに日銀総裁が交代し、植田和男新総裁が就任しました。植田総裁は、黒田前総裁の下で行われた異次元緩和策を段階的に修正していく意向です。2024年3月には低金利政策が見直され、マイナス金利政策が解除されました。

 

経済に与える影響を考えると、さすがにドラスティックな利上げは行われないでしょうが、これから住宅ローンを組んで物件を買いたいと考える人にとっては、かなり大きな影響があるので、金利政策の行方は注視しておく必要があります。

 

各金融機関などが設定する住宅ローン金利に影響を及ぼす大元の金利には、長期金利と短期金利の2種類があります。一般に言われる長期金利とは、おもに10年物国債の利回りのことです。金利水準は景気や物価などの影響を受けつつ、市場で形成されていきます。

 

この長期金利は、住宅ローン金利の固定金利のほうに大きな影響を与えます。一方の短期金利は、日銀の金融政策に応じて決められるもので、こちらは変動金利の動きに影響します。2022年以降、長期金利は少しずつ上昇しており、この影響で住宅ローンの固定金利も上がっています。

 

他方、変動金利は低水準を維持。なぜ固定金利だけ上がるのか不思議に思っていた人もいるかもしれませんが、それはもともと基準となる金利の種類が異なるからです。

 

変動金利のほうが固定金利よりも低金利のため、今住宅ローンを組んでいる人の7割超は変動金利を選んでいます。さくら事務所でも、住宅ローン金利について相談を受けることがありますが、原則的には変動金利をおすすめしています。

 

変動金利は金利情勢に合わせて金利が動くので、「将来的に住宅ローンの返済額がアップするのが怖い」という意見もよく寄せられます。実際、長期的に見れば、これから長期金利だけでなく短期金利も上昇して、変動金利が上がる可能性は高いでしょう。

 

それを見越して「低金利のうちに固定金利に借り換えたほうが良いのではないか」と考える人も多いですが、現段階では変動金利を選んでおけば問題ありません。

 

というのも、変動金利には「5年ルール」があり、仮に利上げされても5年間は月の返済額が据え置かれる仕組みになっています。さらに6年目以降も、返済額は従来の返済額の125%までしか上げられないことになっているので、天井知らずに返済額が増え続けて、家計が圧迫されることは考えにくいからです。

 

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マンションバブル41の落とし穴

マンションバブル41の落とし穴

長嶋 修・さくら事務所

小学館

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